Massive Stator

前回、FOCBOX Unity+というちょっぴりバージョンアップ版がリリースされたという投稿をした。

それと同時にそれまでFOCBOX Unityを販売していたラプタークリアランスショップという謎のショップが姿を消した。今はもうサイトに行けなくなっている。

かつてFOCBOX Unityを販売していたEnertionはラプター2.1という電動スケボーを販売していたのだがこれが世紀の大失敗に終わった。

走ればすぐにボロボロに砕け散るハブモーターのウィール、異様に熱をもつモーター。振動に弱いバッテリーパック。イマイチ信頼性に欠けるナノXリモコン。

ラプター2.1は配送されなかったまま泣き寝入りしたユーザーもおり、仮に運良く(?)納品されたとしても走ればすぐに壊れるという、多くのユーザーを敵に回し信頼を反故にした「電動スケボー界における大・しくじり事件」に発展した。

同時にハブモーター時代終焉の象徴的事件ともなった。「ハブモーターでハイスペックを目指すのは物理的に無理」という結論をラプター2.1で導き出してしまった。ここから中華ボードまで巻き込んで業界がベルトドライブに回帰することになる。

会社は倒産寸前、そこに救世主が現れる。Enertion USAを名乗り、FOCBOX UnityをAmazon.comで販売することを手掛ける業者だ。Enertion最後の希望にして虎の子であるUnityの販売に一極集中して会社の健全化を図ろうとする。

・・・しかし間もなく喧嘩別れしてEnertionはついに倒産。

希望は潰えたかのように思えたが、次に冒頭のラプタークリアランスショップという謎のショップが現れてUnityの販売を始めた。ここではラプター2.1の細かな部品も併売していて、在庫部品の現金化をしているようにも見えた。

そしてそのラプタークリアランスショップも消え、ついにFOCBOX Unity専門の販社が出てきた。それが表題のMassive Statorである。

負債であるラプター2.1関連を切り捨てて、FOCBOX Unityの生産販売に集中した方が事業としてそのほうが良い・・・とは誰もが思っていた。紆余曲折、ゴタゴタを経てそれが実現した形だ。

このリンク先にオリジナルファームウェアやツールアプリのリンクがあります。

FOCBOX UnityはVESC5.xファームウェアも使えるのだが、リンク先によれば、とくに理由が無ければオリジナルのUnityファームウェア23.46にとどまるべきだと言っている。私は実際に23.46を使っているがサーマルスロットリングをオフにすることで特に問題なく使えている。私個人の意見としても無理してVESC5.xを使うよりも塾れた23.46のほうが良いと思う。ただし23.46を使うならAndroidスマホがほぼ必須となる。

またこちらのリンク先ではストームコア60Dとの比較している。

ぶっちゃけ最大の違いは価格だろう。そして、

focboxstormcoreの間のこのわずかな設計変更は、平均的なライダーがクルージングしていることにほとんど気付かれません。」という文面(Google翻訳)。

ふつうに走る分にはほとんど違いがないということ。そうなると$120の差はデカい・・・

Unityの後釜がストームコアになると思っていたのだが、Unityは死なず。私の見立てではしばらくはUnityが市場において有利と見ている。ESCの懸念である「安全性」をFOCBOX Unityは2年くらいの歳月をかけてファームウェアを修正をしつつ証明したからだ。電動スケボーを自作するなら安心してオススメできるESCだ。

そして価格、これがデカい。$199ならFlipskyのFSESC6.6よりも安い。しばらくFOCBOX Unityの天下が続くだろう。これもぶっちゃけた話になるが、12s(12直列バッテリー)で電動スケボーとしては何も問題なくパワフルに走る。Unityで大半の人は充分なのだ。

なにかと業界を騒がせたFOCBOX Unityではあるが、Metrやら3D ServisasやらFluxmotionやら、ゴタゴタの経緯を知っていながらもなんだかんだで今でもUnityをサポートしている。(Unity関連の製品をリリースしている。)

私見ではあるが、彼らもおそらくわかっているのだろう、いま自作電動スケボー界で競争力があるESCがUnityであることに・・・

そして皮肉なことに、このゴタゴタ騒ぎの後になってからUnityの生産や供給が安定するという状態になったのだ。しかしそれでもFOCBOX Unity・・・今までで世界累計5000個出荷というのは、やはり電動スケボーそれも自作というのは超ニッチな世界なんだと再認識しました。