APEX ジャンプドライブとチェーンドライブ

いつの間にか電動マウンテンボードにおける有力メーカーとなった英APEXからふたつのドライブが同時にリリースされた。ついに自社開発のドライブを販売するに至ったAPEXが放つこのドライブ、果たしてどんなものでどのようなメリットがあるのか?

まずジャンプドライブから。

リンク先←APEXジャンプドライブ

↑ 名前からは分かりにくいがジャンプドライブとは、ようはギヤドライブである。

しかし、APEXがただのギヤドライブをリリースするはずもなく、ジャンプドライブの設計には様々な工夫が凝らされている。まず見た目でわかるとおり、ギヤボックス自体がかなり薄い。ギヤボックス自体が薄いとなにがあるのか?まずカッコ良く見える。そして事実上の最低の地上高が上がる。

ギヤボックスが厚いほど地面の何かしらの凹凸や落下物と接触しやすくなり、薄いほどそれを回避できる。タイヤに限りなく近く、かつ厚さゼロ(あり得ないが)ならば、理論上は側面からしか物理的に接触せず下からは接触するはずがないという理屈だ。ようは薄く、取り付け位置がタイヤ側に寄っているほど凹凸や落下物にぶつかりにくい。

そしてこれだけ薄いのにヘリカルギヤを採用している。ドライブギヤ(大きい方のギヤ)も金属製だ。電動スケボーのギヤドライブの歴史はまだ浅いが、POMは破損するというのが通例になりつつある。

POMについてはこちら。

POMのドライブギヤは欠けたり砕けたりする。エンジニアプラスチックで強度があるとはいえ限度があるのだろう。ゆえに電動スケボーのドライブギヤは金属製が優勢となりつつある。またこの薄さを実現するにあたりやはり金属製のほうが強度を確保しやすいと判断したのだろう。極端なことを言えば車やバイクは金属ギヤ、ラジコンはPOM。この観点からすると電動スケボーは車やバイク寄りだったという経験と時代が導き出した結論ということだ。

そしてギヤボックスのピニオンギヤ付近(モーター付近)はヒートシンク形状となっており放熱性を高めている。ベルトドライブにおけるモーターマウントやギヤドライブにおけるギヤボックスはモーターの放熱も兼ねているのだ。

そしてこのジャンプドライブを組み立てたり分解するにあたり、全てはM3の6角レンチのみで行えるようになっておりメンテナンス性を高めている。いちいち工具を複数使うことがないのは楽で良い。メンテナンス性の話題ついでに、APEXのモーターを使うならばピニオンギヤはサークリップ(Cの字のクリップ)で固定するだけであり、イモネジやらロックタイトは不要だ。

ギヤボックスの取り付け角度も6度ごとに細かく調整できる。モーターとデッキの干渉具合を探りながら好みの角度を見つけることができるだろう。イマイチ角度が気に入らん!みたいなことはないはずだ。

ホイールアダプターも数種類用意されており、マウンテンボード用の有名なホイールハブをスコッと嵌めるだけで装着可能だ。これまでのギヤドライブにおける駆動輪側のATホイールハブは意外にも脱着が面倒で、ホイールハブとドライブギヤを繋げているネジを外し、さらにアクスルシャフトのナットも外すという面倒臭さがあった。ジャンプドライブはアクスルシャフトのナットを外すだけでホイールハブを外すことができる。センターナットひとつだけで外せると言うと理解しやすいだろうか?通常のスケボー並みにホイールハブの脱着がしやすくなっている。EVOLVEのベルトドライブにイメージが近い。

いくつかギヤドライブを弄ってきた私も思わず唸る素晴らしさだ。工夫がすごい。ATはタイヤの摩耗があるので定期的にタイヤを交換しなければならない。(ストリートウィールにも摩耗はあるがATタイヤより遥かに摩耗しにくいし多少摩耗しても走行に大きな支障はない。)

しかしそのタイヤ交換がかなりめんどくさいのだ。このジャンプドライブはかなり楽にタイヤ交換ができるだろう。

次はチェーンドライブだ。

リンク先←チェーンドライブ

↑ 見た目そのままのチェーンドライブ。

チェーンドライブの利点は何か?自転車やバイクにも採用されていて実績のある駆動伝達方式であり、ベルトのように切れるリスクは少ないだろう。そして泥には強いそうだ。私は泥の場所を走ることはしないがそういう人には良いだろう。つまり堅牢性がある、

また先ほどのジャンプドライブより安価だという。ギヤドライブは高価、けどベルトは嫌だという人の第3の選択肢になるだろう。堅牢性と経済性を兼ね備えたドライブということだ。

またピニオンギヤはジャンプドライブ同様、APEXのモーターを使えばサークリップで脱着可能となる。タイヤ交換(ホイールハブ脱着)もチェーンの調整は不要。そのまま脱着するだけだ。

モーターマウントと取り付け角度もジャンプドライブ同様6度単位で選べる。

個人的に気になるのは砂などが付着するとシャリシャリとして滑らかな回転がスポイルされるのでは?という懸念だ。砂地など走ったあとはチェーンの清掃など強いられる気がする。

esk8newsのフォーラムにはこのふたつのドライブのスレッドが別々にあるが、みんなの関心が高めなのはジャンプドライブのほうだった。2022.7/4現在の書き込みに5倍の差がある。私もジャンプドライブのほうが関心がある・・・というか

ジャンプドライブコンボキットをポチってしまった!!

いずれジャンプドライブのレビューを投稿できたら、と思う。円安のなかではあるが、それだけ感銘を受けたドライブだったのだ。今回は以上!