BMS観の変化(2020.12)

BMS観ってなんだよ?というツッコミはさておき、電動スケボーに限らずリチウムイオンのバッテリーパックには不可欠なBMS・バッテリーマネジメント・システム。

自作電動スケボーマニアはBMSにそれなりにこだわってきた。バッテリーの並列グループごとの電圧を保ち、バランスを取るのがBMSの役割。これの何にこだわるのか?

①放電性能

②充電性能

③バランス充電電流

④BMS自体のサイズ

⑤セルバランス監視、パラメータ変更などの付加機能(スマートBMS)

あとはBMSを通じて放電するか、BMSをスルーしてバッテリーから直接放電するか(BMSバイパス)

これらは長らく議論されてきたが、近年はある程度様式がまとまりつつある。これがセオリー、これがスタンダードだという流れが出来つつある。

①の放電性能、これはあまり議論されなくなった。放電バイパスが主流になりつつあるからだ。

②の充電性能は4〜10Aもあれば充分だろう。

③のバランス充電電流はあまり議論されないが、大きいに越したことはない。バッテリーがしっかり組んであればさほどバランスを崩すこともないのであまり重要視されない感じだ。

④のサイズは超重要で近年はこれがもっとも重視されていると私は感じている。

⑤は近年ではかなり存在感が増してきた。自分で作ったバッテリーがしっかり動作しているかを確認するためにも出来れば欲しい機能だ。

このように、近年の自作電動スケボーのバッテリーBMSに求められる機能は、放電バイパスでスマートBMS機能があり、かつコンパクトということだ。

↑ 120mm × 80mm × 20mm。80A Max。かつてはこういうBMSが正義だとされてきた。80Aの大電流で放電時もしっかりバッテリーを保護しますよ、というBMS。しかし自作ユーザーの考え方が近年変わりつつある。

それは放電バイパスでなにも問題がないという考えだ。むしろBMSで放電している時、つまり走っている最中にBMSが何かしらを検知して勝手に止まる方が危ない、放電に関してはバッテリー直結で問題ないという考え方がスタンダードになりつつある。(あくまで電動スケボーに関しては)

↑ 放電は無視して、充電だけに特化すればこのくらいコンパクトなBMSで充分なのだ。コンパクトなBMSの良さはやはりスペース効率だろう。

そして次に⑤のスマートBMS機能だ。なくても良いのだが、あれば安心感が違う。

↑ 12sバッテリーの監視。これをスマホで確認できることはかなりのメリットがある。なにかトラブルがあってもすぐに発見できる、スマートBMS機能のひとつだ。

次に、①〜⑤のセオリーからどのようなBMSが良いか、私なりのチョイスを下にまとめる。

↑ AliExpressで売ってるDalyの10sBMS。電動スケボーで使うなら放電バイパス専用になるだろう。P-とC-ポートが共通のコモンポート。スマートBMS機能は無し。約1500円、送料込で2000円くらい。

↑ 同じくDaly、これは14s。放電バイパスで割り切ればかなりコンパクトだ。1800円前後に送料500円で2300円前後だ。スマート機能は無し。

DalyはAliExpressでメーカーが公式販売しているのでそこから買おう。

↑ BestechのBMSであるD239。10s専用でスマート機能無し。60mm × 30mm × 厚さ8mmのコンパクトサイズ。Li-Techで販売している。

↑ 自作において最近関心が高めのFlexi BMS。放電バイパス専用で3〜12sまで設定できる。62.5mm × 32.5mmのコンパクトサイズ。スマートBMS機能付きだが、metrと連携させる必要がある。超絶マニアックなBMSだが、10〜12sなら是非とも使いたい。Esk8newsのフォーラム経由で購入することになるが、現在は入手不能。次のロットからはmetrアプリを通じてファームウェアをアップデートできる仕組みが実装される予定。個人的にはいちばんオススメだが、かなりの知識を要求されるBMSでもある。

↑ いま自作電動スケボー界でもっとも注目度が高いのはこれ、LLT PowerのスマートBMSだ。Bluetoothモジュールとスマホアプリでスマート機能が使える。metrとも連携できる。LLT PowerのBMSは上記リンクの公式から買おう。AliExpressでも売っているが配送が遅い上にトラブルを起こす。私は14s用を買ったのに届いたのは13s用というトラブルがあった。公式から買った方が嫌な思いはしないだろう。AliExpressのセラーはメーカー公式だとさほど問題もなくサポートもしっかりしているが、どこの馬の骨ともわからないセラーから買うとトラブルが多い。

スマート機能を無視すればDaly、スマート機能が欲しいならFlexi BMSまたは LLT Powerになるだろう。とくに13s以上でスマート機能が欲しいなら現状はほぼLLT Power一択となる。やはりmetrと連携できるのは大きい。

バッテリーを自作するにあたり、BMSの選択は避けて通れない。BMSの知識はあっても損はないだろう。これから「電動スケボーのバッテリーを自作するぜ」という奇特な人は、今回の投稿をぜひ参考にしてみてください。