自作用ベルトドライブを買う(バラ売りパーツ編)

前回は全ての部品が揃ったオールインワンのベルトドライブをいくつか紹介した。今回はバラ売りの部品を集めてひとつベルトドライブを構成する。

バラ売りの欠点はまず、部品購入時にそれぞれ送料が掛かることだ。例えばショップAでウィールとドライブプーリー、ショップBでトラック、ショップCでモーターとベルトとモータープーリー、ショップDでモータープレート・・・などという買い方をするとショップA・B・C・Dすべてに送料がかかる。

もうひとつの欠点は互換性だ。モータープレートとハンガーの互換性、プーリーの互換性、ベルトの長さ。ハンガーの長さもある。アクスルシャフト(ハンガーから出ているウィールをはめ込むシャフト部分)の長さもある。

例えばEvolveのアクスルシャフト径はステップダウン方式であり、根元のドライブプーリーを入れる箇所は10φ、ウィールを入れる部分は8φだ。なにが言いたいかというと、これはEvolveのドライブプーリーは専用のアクスルシャフトを基準に設計されているのでトルクボードやその他のハンガーには使えないということだ。こういう互換性の問題がでてくる。

ドライブプーリーにもベアリングがあるタイプとベアリングが無いタイプでハンガー(アクスルシャフト)の形状も変わるのだ。EvolveならEvolve用のプーリーを使わないとならない。これはあくまで1例にすぎないがこういう知識が求められる。

キーワードは◯◯用。これはプーリーとモータープレート、ハンガーなど多岐に関わってくる。ベルトの長さ、幅も重要だ。プーリー幅が10mmなのにベルト幅が15mmではベルトが入らない。とにかく考えることが多いのがバラ売り部品のベルトドライブ構成である。

「めんどくせえなあ・・・まあいっちょ買ってみっか!」

まずターゲット、自分が欲しいベルトドライブをざっくりイメージする。今回は180mm幅ハンガー、そのかわりパワーはそこまで大きくなくても良い。そのトラックにはキャリバーを使おう。いろんなカラーを選べるし日本国内でも買えるからだ。ハンガー幅180mmなので6374はサイズ的に無理。センサー付6355モーターにしよう。ウィールはBoaウィールを試してみたいぞ。つまりドライブプーリーはケーゲル用だ。ベルト規格はもちろんHTD5M。

ハイ!だいたい決まりました!いざ購入!

まずはBoard namicsへ行く。ベルトドライブのパーツを買うならここだ。

↑ まずキャリバーⅡ用のモータープレート。今回は6355モーターを使うので63xxモーター用を買う。はい、早速出てきました、キーワード「◯◯用」。これは本当に大事なキーワードです。デュアルなので2個買う。キャリバーⅡ用とは、モータープレートをハンガーに固定するためのクランプの形状がキャリバーⅡ用ということだ。パリストラックならパリス用のクランプ形状になる。

↑ モータープレートの仕様。Board namicsの良いところは車軸とモーター軸の距離を公開していることだ。これがわからないとベルトの長さを決められない。この場合、62〜78mmまでがモーターシャフトとアクスルシャフトの軸間の許容範囲だ。中心は70mmということになる。

↑ 次はドライブプーリーを買う。Boaウィールを使うつもりなのでケーゲル用をチョイス。また出てきたキーワード◯◯用。デュアル(2個)、歯数はスタンダードに36Tにしよう。

↑ 規格はHTD5M。そしてドライブプーリーの幅は16mmだ。歯数も重要だがプーリー幅も重要。モータープーリーの幅やベルトの幅にも関わってくるからだ。

↑ ついでにベルトも買いまっせ。幅15mmなので先程のドライブプーリー16mm幅にマッチする。規格も同じくHTD5M。長さ270mmでいいのか?念のため計算する。

以前投稿したベルトの長さ測定法使う。プーリーの歯数の定数と軸間を入力する。軸間は先程の62〜78mmの範囲における中心である70mmを入力。なおドライブプーリーは先程の36T、モータープーリーはスタンダードに16Tを想定した。計算の結果273.64mmと出た。つまり270mmのベルトで問題ないということだ。

ちなみに40Tドライブプーリーだと270mmベルトとBoardnamicsモータープレート使用でかなりギリギリになる。アクスルシャフトとモーターシャフトの軸間を62mm限界まで寄せても遊びがなくなり完全にベルトがピンと張るくらいになる。40Tドライブプーリーを使うならば上記の測定法および軸間70mmで285mm長が適正となる。

このようにベルトの長さは意外にもシビアであり、4Tも歯数が変わればベルト長も変えなければならない。少し面倒だがベルト長の計算はしたほうがいいだろう。

↑ まずここまでで、$107.95。送料$40で$147.95だ。

次はウィールを買う。Boaウィールだ。ここではハッチリング90mmを買う。先程のケーゲルプーリーに合わせるためのBoaウィール。

↑ Boaウィール・ハッチリング。送料込みで$107だ。

そして次はモーターとモータープーリーを買う。モーターは6355。さて、どこで買おうか・・・

↑ モーターはFlipskyにする。理由は安いからだ。他社では$90、または$100を越える。表記は6354だが実質6355だ。8mmプーリー付を選択。8mmとはモーターシャフト径のこと。

↑ ズラッと書かれたモーターの仕様。一番上に16mm幅のプーリーが付属すると書かれている。つまり15mm幅のベルトと適合するということだ。これも大事なポイント。4mmゴールドコネクタも悪くない。5.5mmだと太すぎるからだ。下に記すがこれはセンサー付モーターだ。

↑ センサーワイヤーに関してはVESCのために変換コネクタも付属するのが嬉しい。なおFlipskyのモーターが安いのには理由がある。温度センサーが無いのだ。上記のとおりで青、黄色、緑の3相センサーに赤の5V、黒のGNDで計5ピン。温度センサーがあれば6ピンになるが、このモーターのセンサーワイヤーは5ピンである。

↑ リモコンも2個買ったので送料込み$258。リモコン無し、モーター2個なら$160だ。ただしFlipskyの場合、あとで関税を請求されることがある。だいたい1500円程度。

さあ、最後はトラックだ。キャリバーⅡ。は定番中の定番トラック。カラーも色々選べる。これは国内で買うつもりだった。しかし日本で唯一まともな販売店と言えるXTREMEは移転のため今月(2020.7)はすべて休業だとのこと・・・

仕方ない、トラックは保留。急ぎで作るボードではないので営業再開を待とう。XTREMEならキャリバーⅡ10インチ(184mmハンガー)が5800円。送料を入れるとおおよそ6500円。ところが他の国内サイトだと12000円オーバー、酷いところだと20000円越えもある。

キャリバーⅡは9インチ(158mmハンガー)もあるので間違えないようにしよう。9インチだと幅が狭くてデュアル6355モーターが入らない。シングルモーターなら9インチもアリだろう。

さあ合計でお値段は?

モータープレート、ドライブプーリー、ベルトで送料込み$147.95。

Boaウィール90mm、送料込み$107。

6355モーター、モータープーリーで送料込み$160。

輸入分で$414.95。加えてトラックが6500円。ざっくり50,000円という感じか。

やはり各ショップで掛かる送料が痛い。boardnamics$40、Boaウィール$27、Flipsky$28、XTREME600〜700円。トータルで10,000円くらいは送料だ。

今回の投稿がパーツチョイスの選定基準やおおまかな相場の参考になれば。