50Eで12s8pを組む ②

前回はグルースティックで並列のセルを接着し、絶縁リングを貼って終わった。

今回はスポット溶接、直列のハンダ付け、BMSのバランス線の配線だ。

↑ グラステープでグルリと巻く×12セット。

↑ そしてその上にさらに絶縁紙を巻くのだが、今回はプラス極側のニッケルを折り曲げる部分の角も養生する。人様のバッテリーでトラブルを起こしたくない。安全に楽しんでもらいたい。念には念を重ねて対策する。

↑ 今回、スポット溶接するにあたって、3Dプリンターでテンプレートを作った。手に持っているのがそれだ。その右にあるバッテリーを見ると分かるのだが、ニッケルがバッテリーを覆ってしまい、溶接ポイントがわかりづらい。その不便を解消するためのガイドのようなものだ。

↑ ご覧の通り。テンプレートの穴の中をスポット溶接すると溶接ポイントがズレることなくしっかりとセルとニッケルを溶接できる。

↑ こんな感じでセルを並べる。赤い矢印の方向でマイナスからプラスに向かう。

↑ ひっくり返すとこんな感じ。黄色い囲いの隙間の部分、隣同士の8並列の間に絶縁紙を5枚重ねて徹底的に絶縁する。絶縁紙がなくてもセルの被覆(50Eは青い被覆)が絶縁するのだが、万が一走行による振動で、被覆が摩擦で破れたらアウトだ。ショートして炎上する。この手のセルの組み方をする場合は手を抜いてはいけない部分だ。

↑ 今回は直列を16AWGのシリコンコードで繋ぐ。一本あたり許容電流20A、3本なので合計60Aの許容電流。このバッテリー製作を依頼されたオーナーはFOCBOX Unityを使うので、バッテリーコネクターもXT60コネクター。60Aでちょうど良いという形になる。

このバッテリーの組み方は最近のDIY電動スケボーにおけるトレンディな組み方だ。なにしろBMSのバランス線のまとまりが良い。見た目がキレイで組みやすい。バランス線の下にも絶縁紙を敷くのを忘れずに。

全体としてはフレックスバッテリーとなる。振動を受けても曲がるタイプの組み方だ。ここまで大きくて重いバッテリーだと多少剛性を上げたところで振動による歪みは回避できないだろう。ニッケル溶接だけで組むには無理がある。シリコンコードで直列を繋ぎ、ここで振動を吸収する。

長さ420mm、幅170mm、厚さ42mm。重さは計算上は6720g。バッテリー単体で軽量なボードよりも重い。

ハンダ付けが終わったら黄色いカプトンテープを貼って、露出している電極をすべて覆う。なにしろドライバー等の工具ひとつ、ピンセットひとつ、何かしら導電性の物を露出したニッケルの上に落とそうものなら凄まじい光を発し、ものすごい音を立ててショートする可能性がある。ショートした部分のニッケルが溶けて穴が開く。大惨事になる。カプトンテープで養生することはとても大事だ。

そしてお約束、BMSのコネクタ(画像の下の白いコネクタ)の直列間の電圧をテスターで計測する。結果はすべて3.57V、バッテリーパック全体で42.8V、バッチリだ。

次回はバッテリーコネクターをハンダ付けしたり、BMSを繋いだりしてバッテリー関連を仕上げる。