↑ これは今から約3年前、クラウドファンディング・キックスターターにおいて、Enertion・ラプター2のストレッチゴールに設定されていたもの。
ストレッチゴールとは、ファウンダー(企画者)がバッカー(支援者、つまりユーザー)から資金を受けた時に、その集まった総額に応じてさらなる特典をバッカーに与えるというもの。
例えば目標金額$50,000としてその金額は達成されたとしても、さらなる追加資金を呼び込むために特典をつける。$60,000に達したらコレをつけます、$70,000に達したらさらにアレもつけます、みたいな感じだ。
ラプター2に関しては、結果として目標金額は達成したものの、ストレッチゴールの特典を追加で貰えるまでの金額は達成されなかった。つまりこの動画の角度調整式トラックは幻となってしまったのだ。
当時は個人的にかなり欲しいアイテムだった。「すごい!こんなのよく考えつくなあ!」という感じでEnertionのジェイソン氏の才能に感銘を受けたものだ。のちにFOCBOX Unityまで世に送り出し、その設計思想にも感銘を受けた。電動スケボーにおいて、Unityは今現在では最後の革新だと私は思っている。これを作れる人物(設計したエンジニアというわけではないが企画立案はジェイソン氏だと思う)はそうそういないだろう。実際にこれ以降は衝撃的な製品が出現していない。一年ほど技術革新の流れが停滞しているといっても良いだろう。
しかしそんな天才的な人物でも経営には失敗して今は窮地に追い込まれている。アイデアを出すことと、それを生産管理したり資金繰りを上手くやる事とはまた別の才能なのだと外野の私ですら痛感してしまった。この業界はそういうことが多々ある。革新を生む天才が経営と資金繰りで脱落するのは見るに耐えない残念なものだ。
↑ そして今、3D Servisasからこのアイデアが実現されることになった。まだインスタグラムでの公開に留まっているが、おそらくそのうち販売するだろう。
これの何が良いのか?角度を調整出来ると何が良いのか?
スケボーのコーナリング特性を調整することができる。ハンガー角度を寝かせ気味にすれば曲がりにくくなるが安定性が増す。ハンガー角度を立て気味にすればコーナリングのキレが増す。ブッシュの交換と組み合わせればかなり設定の自由度が増す。
例えば硬めのブッシュでコシのあるフィーリングとキレのあるコーナリングを両立できたりする。曲がりをよくするためにブッシュだけ緩めたり柔らかくすればフニャフニャになる。そこで硬めのブッシュだけどハンガーは立て気味にするというセットアップが可能になる。
「曲がるには曲がるけどフニャフニャなんだよなあ・・・」
「安定するけど低速でもまったく曲がらん」
ブッシュと角度調整を組み合わせればそういう悩みをある程度解決できるだろう。リアだけを寝かせ気味にすればそれだけで直進安定性は増すだろう。とくにスピード派ならぜひ試してみたいアイテムだ。