キントーンα(Go)について考える

公道を走れる電動キックボード、キントーンα Go。これについて私の視点で勝手に考察する。Go付きとGo無しの違いは、Go付きがナンバー取得により公道を走れるモデル、Go無しはナンバーを取得できないので公道を走れない。

今回はGo無しのスペックをもとに話を進める。

いくつかのサイトを読んだところ、原付免許が必要であり、どちらかといえば今は趣味のモビリティである側面が強いと同社の代表が述べている。

おなじ原付の括りでも性能面では従来の原付スクーターには遥かに劣る。しかし新しいものを所有する楽しみがある。現実的には裏道をのんびり走って近所のコンビニに行く、などの使い方がメインになるだろう。

自宅の玄関がそこそこ広い、または部屋にスペースがあればそこに置いておける。自宅に置いておく限りは盗難率やイタズラの可能性はかなり低い。9kgというのはかなり微妙だ。ロードバイクよりちょっと重いくらい、または同等レベル。

欠点としては、停止状態ではアクセルオンだけでは発進できないこと。ゼロスタート時は足で蹴って少しだけ勢いをつけてやる必要がある。上り坂での発進は少し苦労するかもしれない。そのかわり誤操作で急発進というトラブルは無さそうだ。

↑ バッテリーはおそらく7s2pだろう。充電器記載電圧29.4V ÷ 4.2V = 7直列。定格25.2V。並列は4.4Ahとのことで容量は計算上110.88Wh。

公式サイトマニュアル

最高速は20〜23km/h。7直列ゆえに伸びない、もしくはモーター(またはESC)の出力制限なのかはわからない。

モーターのワット数は300W、瞬間500W。定格通りなら12Aくらいの控えめな出力。

スケボーとの違いはハンドルやフロントフォークなどが必要であり、この部分に剛性と折りたたみ機構という相反する要素を両立した設計にしなければならないこと。この部分でどうしても重くなる。パワーウエイトレシオではキックボードのほうが不利だ。

もっともクルマやバイクと違いこの手の乗り物のパワーウエイトレシオは重量による動力性能の影響よりも、持ち運びの労力と動力性能の兼ね合いを見るべきだろう。パワーがショボいのに持ち運びが大変だと嫌だし、持ち運びが軽いのにパワーがあればそれに越したことはない。運動性能におけるパワーウエイトレシオを語るなら、乗り手の体重の方がよほど影響が大きいだろう。

キントーンαのバッテリー自体はかなりショボいと思う。タイヤも5.5インチでこれもショボい。しかしここまでしないと電動キックボードで9kgを達成できないのだと思う。保安部品付きのGoだともう少し重くなるだろう。

やれ8インチだの、10s4pだのと装備を盛ればもっと性能が上がるだろうが、とうぜん重くなる。9kgは持ち運びにおける一般人の限界を突いてきたと思う。これ以上重くなるとたぶん不満が勝ってくる。160Wh相当のトラベルバッテリー搭載Evolve GTRと同等程度の重さだと思えば悪くないと思う。

いまどきのBackfireのように21700サムスン40Tセルを7s1pで組めば容量を1割犠牲にして180gほど軽くなる計算だ。逆にバッテリースペースに余裕があれば容量を増やすことも不可能ではない。21700サムスン40T7s2pなら300g重くなって、容量は201.6Wh。1.8倍くらい走行距離は伸びるだろう。いや、出力はショボいはずなので2pならサンヨー20700Bのほうが良いかな?無難にいくならサムスン30Qの7s2pでも良いな・・・などと、すぐに改造のことを考えてしまうのだった。

今後これを市場がどう受け止めるか?「12〜13kgでもいいからもっとハイスペックな物を出してくれ!」となればたぶん簡単に作れるはずである。実際にそれくらいのスペックの電動キックボードはゴロゴロある。今のままでは軽いのは良いがスペックが低すぎると私は思うが、世間の意見としてはこのままで充分という反応もあり得る。

原付扱いによる弊害でスペックに関わらず市場に受け入れられずに終わる可能性もある。とりあえずは様子見というところか。

↑ かつてのホンダシティとモトコンポ。車に折り畳みのスクーターを積み、観光先でスクーターに乗る。こんなライフスタイルが現在に蘇ったとも言える。