走行充電器でいくぞ!(マルチボルト編)

電動スケボーに乗る者なら誰しもが「車で充電できれば良いよなあ」と思ったはず。やり方はいくつもあるがいちばん楽チンなのはハイブリッド車などにあるAC1500Wコンセントに充電器を繋ぐ方法だ。

しかし私はハイブリッド車に乗っていないしEVに乗れるほど金持ちでもない。そこでガソリン車の12Vバッテリーから充電する方法をいろいろ調べていた。今回は手始めにHiKOKIマルチボルトバッテリーをシガーソケットから充電する方法を試す。

↑ メーカー純正でこういうものがある。AC100V、DC12-24Vの両方使える充電器。

だが、今回は純正を使わない。あえて可変電圧式のDCDCブーストコンバーターを使う。

↑ Amazonで売っているコレを使う。入力、出力ともにワイドな電圧幅。電流も入力側で30Aくらい流せる。12V ×30A=360wはイケる。今回はコイツの使い方がメインだ。知っていれば色々と応用できるだろう。ただ使い方が少々むずかしい。私の失敗談を交えて解説していく。

今回はシガーソケットを使うので120W、つまり入力10A程度が限界だ。今回マルチボルト側は36V側ではなく18V側で充電していく。バッテリーターミナルも18V専用になる。なお、マルチボルト(マキタの40VMAXシリーズもおそらく)、1セルあたり満充電4.1Vに制限されている。セルの寿命を伸ばすためか、あえて4.2Vまで充電しない仕様だ。マルチボルト18V側は5直列になるので

4.1V × 5直列 = 20.5Vが仕様上の満充電だ。

↑ マルチボルトバッテリーターミナル。左が36V用、右が18V用。今回は右の18V用を使う。
↑ そしてこんな感じで繋ぐ。左がシガープラグ、真ん中がDCDCコンバーター、右がマルチボルト18V用バッテリーターミナル。シガーソケットの定格12Vをマルチボルトの満充電20.5Vまで昇圧して充電する。
↑ 他サイト様から拝借した画像。これを元に使い方を説明していく。

まず、何も繋がなくともCC出力電流は精密ドライバーのマイナス、またはそれに類する小さいマイナスドライバーで左(反時計回り)にぐるぐると回す。30周も回しておけばいいだろう。高電流の状態で配線を繋ぐと一発でヒューズが飛ぶ。(私はこれでやらかした)まずはよくわからずとも、とりあえず左に回して設定電流を下げておくのだ。

次にCV出力電圧の調整を左にぐるぐると回す。精密ドライバー、またはそれに類する小さいマイナスドライバーで左にぐるぐると回す。これも30周程度回すといいだろう。

いよいよシガーソケットを挿す。バッテリーはまだこの時点では繋がない。ACCなのでエンジンを掛けた状態にしておく。

次は出力側にテスターを当てて出力電圧を負荷の電圧と揃える。これをやらずに高電圧の状態で負荷を繋ぐとヤバイことになる。この場合、負荷とは充電したいマルチボルトバッテリーのことであり、18V側の満充電である20.5Vに調整する。電圧を上げるなら右に、下げるなら左に回す。

いよいよバッテリーを繋げるのだが、用意するバッテリーは満充電ではないものを用意する。できれば残量半分程度からそれ以下がよいだろう。満充電だと次に行う電流の調整が不可能になる。

電流を測るのにはクランプメーターを使う。

↑ 使うのはこれだ。激安クランプメーター。これがめちゃくちゃ素晴らしい。直流電流を測るのは意外にも大変でコストが掛かるものだったのだが、これを使うと安く、そしてものすごく簡単に直流電流(DC)を計ることが出来る。ホームセンターに売ってるものだと2万円以上はする。Amazonで売ってるコレなら4000円台で買える。もちろん電圧も測れるので、電動スケボー自作に使うテスターはこれ一台で充分といえる。
↑ いよいよ全てを繋いだ!南無三!

無事になんとか動いたので電流を調整する。クランプメーターはこの状態じゃないと電流を測れない。負荷(バッテリー)、DCDCコンバーター、入力(シガーソケット)、すべて繋いで、なおかつバッテリー残量がある程度減った状態ではじめてクランプメーターで電流を測れるのだ。

クランプメーターは直流のDCにセットして、なおかつゼロボタンでリセットしてからマイナスのケーブルをハサミの中に入れる。

↑ クランプメーターで入力側(シガーソケット側)を測る。画像では赤いケーブルで計測しているが、本来は黒いマイナス側のケーブルで測る。ざっとこんな感じで10A程度に調整する。CC出力電流を回す。上げるなら右、下げるなら左に回して大まかに10Aに調整する。(※ちなみに本当に10Aで使い続けるとシガーソケットおよびプラグの発熱がすごい。7A程度に抑えることをオススメする。これはのちの投稿で解説している。)なお計測時はプラスマイナスケーブル2本同時はダメですよ。マイナス側ケーブル1本で計測する。
↑ バッテリー側を測ってみる。入力側に対して概ね2/3から3/4程度の数値になるはずだ。理論上は走行中のバッテリー電圧は13.5V以上になる。場合によっては14Vを越えるくらいだ。入力10Aで140W。140Wを20.5Vで割るとおおよそ6.8Aになる。画像では「車のシガーソケットは12V10Aとか言うてるけど、実際ヒューズは15Aだから11Aでもまだイケるぜ〜」と調子こいて出力7.47Aで充電しているの図。こういうことをするからヒューズが切れるんですね〜。

(※ 後日わかったことだが、安物のシガープラグだと10Aに耐えられずかなり発熱し壊れることがわかった。この件に関してはこちらに投稿した。 心配なら7Aなど、もう少し電流をさげてもいいだろう。)

21700版マルチボルトバッテリーに採用されているセルはサムスン40T。充電電流最大6A。今回は5s2pの定格18V側の充電なので1セルあたり6A × 2p=最大12Aまでイケる。7A充電だと1セルあたり3.5A充電。まだ全然余裕だ。

このまま車を走らせると満充電に近づくとともに電流は徐々に下がっていく。規定の電圧まで行けば無事に充電は終わりですよ、と。満充電のバッテリーで電流を設定してはいけない理由はこれだ。もう出力と入力が釣り合ってしまい、まともな電流は流れなくなっているからだ。

↑ バッテリーの端子から直接テスターで測ると20.3V。開始時は18V。20.3Vはほぼ満充電といっていいだろう。計算上、1セルあたり4.06V。

最後に低電圧保護設定だ。エンジンが掛かっている状態でUV低電圧保護設定を右にぐるぐると回す。エンジンが掛かっている時と止まっている時ではバッテリー電圧は異なる。これはエンジンが掛かっている時を基準にする。右にぐるぐる回しているうちに低電圧保護LEDが光るはずだ。完全に光ると充電がシャットダウンされる。

そこから少しずつ左に回して戻していきLEDが消えたところからさらに半周ていど左に回すといいだろう。アイドリングストップをした数秒後にすこーし光る、または光らなくともアイドリング開始時に瞬間的に光るくらいが良いかもしれない。もし走行中(アイドリング中)でも低電圧保護LEDがうっすらと光っていると電流が少しカットされている。これはクランプメーターでわかるはずだ。LEDが消えて10A(もしくは任意の電流)になるまで左に回そう。

かすかに低電圧保護LEDが光っている時でも、意外にも電流は抑えられている。完全に光るとほぼ全カットだ。

今回はシガーソケットを使ってマルチボルトを充電してみた。これは布石だ。いずれはバッ直から電動スケボーを充電してみようと思う。バッ直なら12V30Aで360Wで充電器できる。理論上12sなら7Aで充電できるのだ。そのうちやります。