あくまで個人的な見解、意見になるが2020年中盤の電動スケボー界は少し停滞期に入ってるかのように思う。成熟しきってしまった、そんな感じだ。
中華ボードも目を見張るような最新機がでてこない。ハブモーター機が廉価ボードとなり、少し良さげなものはベルトドライブ。ATボードもある程度選択肢がある。ESCも誰もが操りやすいものになった。一般の人にとってはもう充分というところまで来た。
DIY界においてはやはり大容量バッテリーの時代となった。1000Whオーバー当たり前という感じだ。リチウムイオンセルは今後21700がメインとなり、18650の進展は厳しいという。電動スケボー界もそれに倣う形になるだろう。安いボードは枯れた18650、ちょっと良いボードは21700。今後はそんな時代になるだろう。
海外も一部地域は法整備が整った。例えばシンガポールでは歩道で15km/h、車道では25km/h制限。ドイツでは電動キックボードの制限速度は20km/h。
フランスはデバイス(ボード)が25km/h制限になっていないと罰金€1500。25km/h以上速度が出る電動キックスクーターに乗ること自体が違法となるのだ。これは厳しい・・・
各国、ヘルメットは必ずしも着用義務がない。ここが日本と違うところだ。自己責任であり利便性を犠牲にしないということだろう。
海外では認知、普及、成熟を経て法が整備された。日本はナンバー付きの原付扱いで電動キックスクーターが認可されたくらいだ。新しい枠組みではなく、あくまでヘルメット着用義務がある原付扱い。これじゃ流行らんだろうなという感想である。べつに流行らなくても良いが・・・
そんな感じで周回遅れの島国ニッポンは別として世界ではキッチリと法規制が入った。つまり世界的にもそんなにハイスペックなボードには法的に乗れないから需要は無いよ、ということである。
日本は一周回って河川敷で遊んでる分にはそこまでお咎め無し。その辺りは4〜5年前とあまり変わっていない。法規制ガチガチの国より日本はまだ幸せなのか??
こういう世界の法的な部分も停滞期に追い討ちをかけているのだろうと思う。
公道を電動スケボーで80km/hで爆走できるスウェーデンとかは例外中の例外だろう。さすがバイオボードとVESCのお膝元である。
もう進化の芽は摘まれたのか?
あくまで予想になるが、法的にスペックが頭打ちならおそらくロングレンジ、軽量、乗り心地が焦点になるだろう。あとはもちろん価格。
↑ そのうち出てくるであろう21700サムスン50Sセル。これが出てくれば軽量クラスの電動スケボーはワンランクグレードアップするだろうと見ている。
2p構成においてはそこまで大きいバッテリーではないのに大容量かつそれなりの出力を両立できるからだ。
10s2pで360Wh、コンスタント出力40A
10s3pで540Wh、コンスタント出力60A
12s2pで432Wh、コンスタント出力40A
12s3pで648Wh、コンスタント出力60A
なかなかすごくないですか??
めちゃめちゃパワーはないかもしれないけど軽いわりにけっこう距離を走れるボードというものを実現できるようになる。パワー面においては世界では法的に削がれているので、20Aも出れば充分だろう。10s定格36Vでも720W出るわけで。ただ、この50Sバッテリーはライフサイクルはそんなに多くないらしい。
ESCはもうこれ以上望むものがなくなってきている。バッテリーの進化がそのまま電動スケボーの進化となる。この停滞感はもう少し続くだろう。
いま、Hikokiのマルチボルトバッテリーを利用する自作電動スケボーをボチボチ設計しているところであるが、電動工具のバッテリーはセルの進化とともに今後ますます利用価値が上がるかもしれない。電動スケボーに限らず、電源としてとても多用途に使える物になるだろう。たとえば電動アシスト自転車のバッテリーとしても十分に使えるパワーと容量を実現できるようになる。
↑ブリジストンの電動アシスト自転車、デュアルドライブ用バッテリー。36V。291.6Wh。容量自体は大したことはない。先ほどのサムスン50Sで10s2pで組めば360Whだ。
36Vというのは互換性が高い電圧だ。電動スケボー、電動工具、電動アシスト自転車。時代の流れとともにこれらの電圧は共通になった。それぞれに応用が効くということだ。
しかし電圧が同じというだけでコネクタやらプラグの規格はそれぞれバラバラだろう。その辺を自作でクロスオーバー化させるのはなかなか面白いかもしれない。電動工具のバッテリーでスケボーを走らせたり、電動アシスト自転車のバッテリーをモバイルバッテリーとして流用したりできそうだ。
停滞を打破するのはバッテリーにあり。電気自動車も電動スケボーもバッテリーの進化が鍵を握る。