Evolve純正エンクロージャーをダブルスタック化する??

自作プーリーの件で、寸法取りのためにEvolve38Tのケーゲルプーリーを借りたのだが、貸してくれた方から「Evolve Bamboo GTのバッテリーをダブルスタックにしたいので、そのパーツを3Dプリンター印刷して欲しい」という依頼があった。もとはこの依頼の方が話の本筋で、プーリーを貸していただいたのはその話の流れの中でのご好意である。

↑ 先にデッキに装着した画像を載せる。デッキは部屋に転がっていたEvolve Bamboo One(終売)のデッキ。エンクロージャーはBamboo GTおよびGTXと共通だ。エンクロージャーの厚みが大幅に増してバッテリーをより多く積むことが可能になる。内部の上下幅は実に40mm以上。

Thingverseという3Dプリンターファイルの共有サイトにその目的のファイルはあったのだが、使用実績は不明な上に分割されたパーツの接合方法に問題があった。

3Dプリンターにおいて、1辺が30cmを越える部品は大物の部類に入る。長さ60cm近くあるエンクロージャーパーツを印刷するには2分割なり3分割なりして、あとでそれを接合しひとつの長物パーツとなる。問題の接合部分は凹凸の形の部分をただはめこむだけというもの。接合における信頼性に欠けるうえにカッコ悪い。

↑ 人様がせっかくサイトに上げてくれたファイルにケチをつけるのも申し訳ないが、このような接合法や見た目では、私の基準からすればいただけない。しかしダブルスタック化のアイデアは面白い。そこで

「このアイデアはそのままに、私が再設計してしまおう。」と思い立った。

↑ これが再設計したもの。接合はM3のネジで接合して信頼性を高める。また接合部分の外観は一本の継ぎ目にしか見えないようにした。

↑ 今回は全体的には柔軟性のあるTPUフィラメントを使うが、赤円の別体パーツだけは硬いフィラメントで作る。これはデッキ取り付け用のネジ穴部分の別体パーツだが、ネジの締まりすぎを防止するために作った。8箇所すべてに適用する。柔軟な素材のみですべてを作るとネジを締めたときに締め込むほどにパーツ全体がどんどんネジの締まりで潰れてしまうからだ。これでは寸法も狂ってしまう。

印刷における充填率(インフィル)は35%。つまり65%は空洞だ。空洞というのは少し語弊があり、内部は細かい網目のようになっており強度は確保されている。密度のほうが表現としては正確か?

TPUフィラメントは充填率低めでも柔軟ゆえに割れることもない。フィラメントを節約し、軽量に仕上がりながら耐衝撃性は抜群。3Dプリンターでこれを使わないのでは勿体ないと言い切れるほど良い素材だ。

↑ 良い感じに仕上がったと思う。柔軟なのでネジが締まるとデッキの曲面に沿って勝手に曲がってフィットしてくれる。AT用と割り切る必要があるが、かなり面白いカスタムになるはずだ。

ストリート97mmウィールに対して、EvolveのATは直径175mm。

(175 – 97)÷2=39mm、これが97mmストリートとATとの地上高の差であるが、今回のパーツによりエンクロージャーは25mm下がる。まだ14mmの余裕があるので問題はないだろう。

このダブルスタックカスタムにはもうひとつの工夫を盛り込む。それはまた近日中に投稿します。