↑ 以前、アリババで120mmウィールが売っているという投稿をしたが、さっそく購入してみた。これがクラウドウィールである。「ALL TERRAIN」と書いてあるが、ATというよりクロスオーバーなイメージだ。色がいくつか用意されているのだが、この半透明の黒にこだわり、何度か交渉を重ねた。
「半透明の黒が欲しいです」
「在庫がありません、白ならあります」
「透明ではないソリッドな黒があるようですが、これは?」
「それは83Aで少し固いです」
「半透明の黒はいつ入荷しますか?」
「10日後です」
こんな交渉をして、ようやく買えたのである。在庫さえあれば発送はめちゃめちゃ早い。ちなみに半透明だと固さが78Aでありソリッドの黒より柔らかい。
スリックレボリューションで販売しているものはフォーミーズという名前で、カラーが紫とオレンジ。これはフォーミーズの専用カラーでクラウドウィールにはないカラー。おそらくクラウドウィールとフォーミーズは色違いの同等品だろう。
↑ 左からabec11 107mmスーパーフライ、今回のクラウドウィール120mm、トルクボード110mm、そして一番右の赤いウィールはスリックレボリューションのラフスタッフウィール110mm。
↑ abec11 107mmと並べてみた。数字のとおりでクラウドウィールのほうがやはり大きい。ちなみにクラウドウィールはベアリングが付属する。
クラウドウィールを指で押した感じではそんなに柔らかく感じない。しかしスリックレボリューションによるとこんな記述がある。
↑ フォーミーズは50マイルの慣らし期間を終えると最適な柔らかさになります。フォーミーズはコンフォートとグリップのために設計されており、スライドには不向きです。という内容。50マイルということは80kmの慣らしだ。最適な柔らかさになるまでけっこう走らなければならない。
↑ Evolve GTXに付けてみたものの、ベルトカバーに微妙に干渉した。このベルトカバーはまだ107mmウィールが存在しない頃にFLATLAND3Dで購入したもの。当時107mmにあわせて切ったのだが、今度はクラウドウィールの120mmに当たってしまう。
↑ ウィールに当たらないように棒ヤスリでガシガシと削った。ちなみにこのFLAT LAND3Dのベルトカバーは今はもう売っていない。
↑ こんな外観になった。Evolveのプーリーに問題なく装着できた。さっそく走ってみる。今回はギヤ比の合わない32Tなので、15〜20km/h程度で走った。
やはり思ったよりは柔らかくない。そしてこのトレッドパターンのせいか、独特の音のロードノイズがある。台風の日に部屋に籠っていると外から聞こえる風の音?みたいな鈍いブォーーという感じ。とりあえずそこまでうるさいわけでもなく、綺麗な路面であるほどハッキリとわかる音。これはウィールのセンターが磨耗してトレッドパターンがある程度消えれば収まるかもしれない。私の感覚だとそこまで気にする音でもない。
とりあえず走りまくった。
↑ 画像のようなハブモーターでは走りたくないような荒い路面も積極的に走ってみた。快適とは言えないものの、なにも考えずに突っ込める。これは頼もしい!その辺のアスファルトなら、路面状況にかかわらずとりあえずどうにでもなる感じだ。
GTXのフレックスデッキの助けもあるだろう。フレックスデッキ、ドロップスルー、ダブルキングピントラック、そしてクラウドウィール。予想通りなかなか良いセットアップだ。まさにリアルストリートマシンだ。アスファルトなら路面の良し悪しを問わずそれなりに走れて、小回りも効く。
綺麗な路面なら、abec11 107mmやトルクボード110mmのほうが快適だろう。海外のサイトで良く言われる「バターのような滑らかさ」というやつだ。クラウドウィールはトレッドパターンのせいかバターのような滑らかさは無い。荒いわけでもないが、「うほ〜〜」と思わず声がもれるような滑らかな感じは無い。
綺麗なアスファルトで「滑らかやわ〜」「極上の乗り心地や〜」と感じるのはabec11スーパーフライとトルクボード110mm。しかしこれらのウィールは路面が悪いと途端に乗り心地も悪くなる。路面状態によって落差が激しいのだ。クラウドウィールもその辺は変わらないが落差はそこまで大きくない。
クラウドウィールはトレッドパターンのせいか、転がりが良いという印象はなかった。GTXのベルトドライブとの組み合わせでも、至って普通だ。アクセルを抜くと普通に少しずつ減速する。ギヤ比の問題もあるかもしれない。ダイレクトドライブなどと組み合わせればまた違うのかもしれない。転がりだけで言えば、ATと比べて全然マシではあるが。
このクラウドウィールはいくつかの利点がある。
↑ クラウドウィールは、この手の縦に走る路面の継ぎ目には比較的強い。通常のストリートウィールだと継ぎ目に対して平行に近いラインで侵入すると、ウィールの角が継ぎ目に引っかかって怖い思いをするだろう。なので継ぎ目を跨ぐなら赤い矢印のような走行ラインを走るのがセオリーだ。
しかしクラウドウィールの丸い接地面は、継ぎ目に引っ掛かりにくくしてくれるので青い矢印のような走行ラインでもそんなに怖い感じがない。これは地味に効くアドバンテージ。
乗り心地や快適さはATに劣るのであまり期待しすぎるとダメなのだが、ストリートウィールらしいフィーリングは健在だ。ATのゴロンとした感じはなく、カービングはストリートウィールの感覚そのまま。つまり荒い路面に適当に突っ込める懐の深さと、カービングの楽しさを両立できるのだ。
↑ 計測上は25.5km走った。107mm換算なので実際は28km以上走っただろう。終盤は心なしか、乗り心地がマイルドになった気がした。ギヤ比が合わない状態でよく走った方だと思う。
総括すると、乗り心地はもちろんストリートウィールの括りならばかなり良い方であるが、それよりもカービングの楽しさを失わずに荒れた路面への対応力があるという、守備範囲の広さが光ったウィールでした。慣らしが進めばもっと乗り心地が良くなるという期待値も込めて、かなり良いウィールだと思う。初めて走る、先の路面状況が読めないところでも、とりあえずどうにかなる大口径の安心感も良い。
しかしギヤ比は要セットアップという感じだ。GTXのFastモードでも32Tプーリーではかなり鈍い加速だった。
最後に、このクラウドウィールを採用している完成品ボードを紹介しておこう。
Slick Revolutionはフォーミーズとして扱っている。FAboardのリンク先の画像は半透明の白いタイプのクラウドウィール。ニンジャ・プロはソリッドの黒ウィール、つまり83Aのようだ。
FAboardとニンジャ・プロはダイレクトドライブとダブルキングピントラックだ。この組み合わせはかなり良さげに見える。120mmと相まってモーターと地面とのクリアランスもそれなりに稼げるだろう。そしてクラウドウィールはハイスピードでガンガン攻めるキャラクターでもない。カービングとそこそこの速度、そしてアスファルトなら路面状況をそんなに選ばない懐の広さ。スピードを求めない人ならかなり楽しめる組み合わせだと思う。駐車場遊びもよし、クルージングもよし、ハブモーターでは嫌な荒いアスファルトでも大きなストレス無しにやり過ごせる。
1台だけしか所有しない、というならクラウドウィール装着車は大いにアリです。オールマイティで守備範囲が広い。頼もしい相棒になるだろう。
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