トリック用の軽量電動マウンテンボードについて考察する

久々のブログ更新。プライベートが忙しかったのもあるが、そのなかで依頼品の電動マウンテンボードの製作もしていた。

その依頼主の方と「マウンテンボーダーの方々の電動に対する反応はいかがなものでしょうか?」と尋ねたところ、

「興味を示さない人が半分、逆に興味津々という人も半分、まっぷたつに嗜好が分かれました。」

という結果であると。やはりライディング技術を研鑽してきたマウンテンボーダーからすると電動は重くてテクニックを活かしにくい、リモコンが邪魔、そもそも電動は意に沿わない、などがあるのだろうと推測する。

反面、下り坂やパークでなくとも遊べる電動ならではのメリットに魅了される方もいると。

また、電動スケートボーダーとマウンテンボーダーの方向性の違いもうっすらと分かってきた。電動スケートボーダーはトリックなどはせずツーリング感覚で走ることを好み、マウンテンボーダーはクローズドな場でトリックしながら遊ぶのを好む傾向があることがわかった。また、マウンテンボーダーはそこまでトップスピードに拘らず、電動スケートボーダーは一定数スピードに拘る。個人差はあるとは思うが、おおまかにそんな印象を受けた次第。

そしてマウンテンボーダーに電動マウンテンボードを乗せたところ、「重すぎてトリックがやりづらい。(基本ムリ)」という意見もあったそうだ。

そして表題の軽量な電動マウンテンボードの話に行き着く。依頼主いわく、「マルチボルト2号機くらいの重量ならなんとかトリックもイケるかもしれない。」と。

海外の電動マウンテンボードは最低でも6374モーターに12s4pは最低限という半モンスターが主流だ。12s7pまたは8pも珍しくない。とうぜんやたら重い。対してマルチボルト2号機は10s2p(マルチボルト2個)に5055モーターの組み合わせでパワーは無いが軽い。

重量を削るには軽量なバッテリーに軽いモーター、これしかない。

まずモーター。50xx系が使えれば良いが、マウンテンボード用のモーターマウントは基本的に63xx系対応の物しかない。50xxと63xx、モーターの大きさも違うが規格としてネジ穴の位置も違うのだ。なので6355、6354が候補だ。

Flipskyの6374モーターはひとつ980g、6354モーターは560gである。ふたつで840gの差である。6354の140KVなら延々と坂を上るようなことをしなければ充分にパワーはある。

次にバッテリーだ。21700ひとつで70g、これが12s1pで840g、12s2pで1680g、12s3pで2520g。重量だけで言えば12s1pが候補になる。

しかし12s1pは容量的、パワーともにショボい。

↑ 容量と出力バランスにおける最高峰のひとつである21700モリセルP42Aでも30Aはかなりキツイのがグラフでも分かる。

現実的に12s1pは出力的にキツイ、12s2pは重い。保守的に出力20Aとして、12Sの電圧定格43.2Vで計算すると864W。あとは140KVモーターのトルクに期待する形だ。そもそもターゲット重量をどれくらいに設定するかにもよるが。

16s1pなど多直列にするのもひとつの手段だ。16sなら定格57.6V。20Aで1152W。重さは1120g。多少の重さと引き換えに同じアンペアなら288Wぶんのパワーが割増となる。12s時の864Wを16sで出すなら15Aで済む。高電圧化のメリットだ。セルの負担が軽くなる。

容量としてはモリセルP42A使用で12s1pは172Wh、16s1pは230Wh。230Whなら交換前提で、まあ許せるレベルか??

16sの欠点は高出力用ESCと専用の16s充電器、16s対応のモーターが必要になること。モーターは12s用を自己責任で使う形になるだろう。さらに言えば16sはスピードが上がり過ぎる。低KVのモーターは必須だ。計算上は90〜100KVあたりがちょうどいい。

また1p構成のバッテリーに4A充電器なら1時間で充電が終わるメリットもある。

延々と16sの考察をしたが、電圧に対するモーターの耐久性の疑問、高価な高電圧対応ESCと16s用充電器が必要と、少なからず問題がある。しかし軽量電動マウンテンボードの候補のひとつになるだろう。

最後にESC搭載位置だ。電動マウンテン(スケボー)の傾向としてどうしても後ろが重くなる。トリックをする上ではこの重量バランスの悪さはデメリットだ。重量物のモーターが後ろに搭載されるのは仕方ない。なのでせめてESCの位置を変える。ということでトップマウントバッテリーとともにESCを搭載する。つまりデッキのど真ん中にバッテリーとESCを乗せる。マスの集中化だ。

↑ いきなりバイク。スズキのカタナ現行型。シートカウルが短く、マフラーも低く短い。重心を真ん中に集めるのは運動性能に直結する。この思想を電動マウンテンに応用しましょう、と。
↑ ESCはSpintend U box V2(75V版)が有力候補だ。16sも問題なく使えるVESCのひとつ。

こんな感じで16s1p、6355モーター、デッキの中心にESCとバッテリーを搭載というのがひとつの結論になった。これを作るかどうかは不明だが、

とりあえず、異様な円安をどうにかしてもらいたい。ドル130円近いのでは買いたいものも躊躇する。

今回は以上。