マルチボルト2号機 発進!

ということで完成!

VESCの4大設定は・・・

Battery current MAXは25A、これはマルチボルト18650版のセル、サムスン25Sの放電アンペアを基準とした。バッテリー2機なら40Aとかも使えるのだが、万が一に片方のバッテリーが先に残量切れになったりトラブった時には即時にもう片方のバッテリーもトラブルを起こしかねない。

リジェネは-6A、これもサムスン25Sセルの定格充電アンペアである4Aを基準に1.5倍にしたもの。これも万が一のトラブルに備えての無難な設定。

上記のふたつの設定はシングルバッテリー基準だ。1号機同様、バッテリー1個でも走れる無難な設計にしてある。

motor current MAXは36A、これはモーターの定格1500W÷42Vから。36Vで割って大雑把に40Aでも大きな問題はない。

motor break MAXは-30A。これは適当だ。過去の経験からこんなもんだろう、という感じだ。

走ってみる。設定もバッテリー1個分に合わせて無難な設定にしてあるのでエキサイティングな部分は特になく、ごく普通に走る。走りに関しては感動は無い。

とはいえ、私はいままで色んな電動スケボーを乗ってきているからそういう結論になるのであって、人によっては「電動工具のバッテリーでこんなに走るんだ〜」というちょっとした感動を抱いていただけるのでは?とも思っている。

TPUショックパッド、正直なところ違いが分からないという残念な結果になった。もっと柔らかくてもいいかもしれない。ただ、電源ケーブルをトンネルできるというのは今後も応用が効く技法なので製作の経験値積み上げ、新技法習得という意味では良かった。無駄ではない。これは今後に生かせるだろう。しかしボード全体のトータル評価において乗り心地は良い。6インチATタイヤと柔らかデッキのLandyachtzスイッチブレードがかなり効いている。そこら辺のアスファルトを走る分にはそれほど問題はないだろう。

今回採用の新バッテリーホルダー、見た目は賛否両論かもしれないが、機能性としては悪くないと感じた次第。バッテリー脱着においてとくにストレスはない。

レンジ、18650版マルチボルトバッテリー2機で7km程度と正直なところ厳しい結果となった。ストリートウィールなら10kmはイケるだろうが、今回は走行時の快適性を優先してATとした。VX1リモコンでのボード側残量メーターがLED1つまでに減ると登坂力も明らかに落ちた。走り始めの時とは大違いだ。

もしかしたらバッテリー1つ、かなり弱っている可能性アリ。過去、ちょっとやらかして激しく発熱させているからだ。弱っていないバッテリーならもう少しまともな結果になるかもしれない。

それを差し引いても結論を言ってしまうと、マルチボルトバッテリーで(おそらくマキタの40V MAXシリーズでも)電動スケボーは作れるが、高性能でロングレンジなボードにはならないということだ。バッテリーなりのそこそこなボードになる。マルチボルト4機という構想もあったが、あまり現実的では無いので止めた。4つも買うとさすがにお値段高いし・・・

なによりも上で4大設定の件を話した通りで、強力な設定にしてしまうと、残量切れやトラブルでバッテリーが1個しか稼働していない状況に陥ったときにさらなるトラブルに繋がる可能性を排除できないからだ。バッテリーを何個つけようが1個分を基準にした設定にせざるを得ない。リジェネも同様で、回生電流を大きく設定することもできない。(リジェネは残量に関わらずバッテリー2個あれば倍の12A設定でも問題ないのだが、1個で動かしているときに12Aとか回生されるとマズイ。)

2個バッテリーを使っていても万が一を考えれば1個分のリジェネ設定にせざるを得ない。これは少なからずレンジに影響するだろう。バッテリー稼働数に応じて設定を自動で変更できる仕組みを作ることが出来れば良いが、私にはそんなスキルは無い。これら設定における問題は1号機と違い、VESCを使った2号機ならではの問題点と言える。

当HPの自作データベース(バッテリー自作知識編)でも述べているが、バッテリー出力と回生電流については大きいバッテリーほど有利であり、結果として効率も良いということが改めて浮き彫りになった。大きいバッテリーなら回生電流も強めに設定できて、とくに高速時からのブレーキにおいてより多くの電気を回収できるだろう。これがレンジにも影響する。

しかし考えようによっては1個分でもそれなりに走れるマルチボルトバッテリーも凄いとも言える。セルの進化による大きな恩恵である。性能的に近い倒産したInboard M1のバッテリーが当時$250くらい。マルチボルト18650ver.は実勢価格12000円くらいである。中身のセルは間違いなくマルチボルトのほうが良い。時代の流れゆえに必然ともいえる結果ではあるが。

どうしてもレンジを稼ぎたいならやはりストリートウィールになるだろう。90Wh ×2個で180Wh。これで10km程度。21700バージョンのバッテリーなら144Wh ×2個で288Wh。これで20km近く走ると思われる。もちろん体重や走り方にもよるが。

このたび採用したモーターコントローラーであるFOCBOX TENKA、今回のように無難な設定で使う分にはとくに問題ない。AndroidやPCのFOC BOX toolというアプリで簡単に設定にできる。

自作用データベース(FOCBOX unity編その1)

↑ 使い方はこちら。TENKA、BKB Xenithも同様。

TENKAも使い方次第ではコスパに優れたデュアルVESCとなる。ハイスペックボードを目指すならUnity、Zenith2など$300付近のESCを使うことを推奨する。

そんな感じで1号機同様、電動工具のバッテリーでこんな電動スケボーも作れてしまうんだ、というのを形にした。マルチボルトは色々応用が効く。定格36Vの機材なら電動キックボードでも、電動アシスト自転車でも使えるはずである。

そのうちマルチボルト21700ver.バッテリー2機搭載でレンジでも測ってみようと思う。この電動スケボーを基準とした場合、有利なのは間違いなく21700ver.。21700ver.しか使いません!というのであればBattery current MAX30A、リジェネも9Aくらいまで設定可能だ。(バッテリー1個基準)