オールテレイン電動スケボーを3つのカテゴリーに分けて考える

近年はAT(オールテレイン)の電動スケボーが地味に勢力を拡大し、ストリートウィール搭載ボードはこれまた地味に勢いを失っている。たまに出てくるストリートボードの新作など見向きもされず話題にもならない。最近出てくるのはATの新作ばかりだ。

AT(オールテレイン)を念のために説明すると、それはオフロード仕様ということです。自転車みたいなチューブによる空気式タイヤ、またはゴムで充填されたパンクレスタイヤなどを使った電動スケボーをざっくりとATと言っています。電動スケボーにおいてATはオートマチックという意味ではありません。

私たち自作派の仲間たちも徐々にターゲットをATに移行していった。10ヶ月前にこんな投稿をしている。

AT隆盛、ストリート衰退は自然な流れである。バッテリー大容量化、ユーザーのライディングスキル向上に伴い、より遠くへ、より路面状況を選ばす走れるボードを望めば答えは大容量バッテリー搭載のATへと行き着く。

表題に関しては私なりの考えであり、今後ATの電動スケボーを買うにあたりこれを軸に考えていただければ・・・ということで以下に勝手に述べる。

3つとはズバリ、トラックでカテゴリー分けをする。

①リバースキングピンおよびダブルキングピントラック。

②マウンテンボードトラック

③4独サス、左右が連動せず1輪ごとに独自でサスペンションが動くタイプ。

この3つに分けましょう、と。そしてトラックの違いから、成り立ちやその他の構造、価格まで細かく変わってくる。

①はEvolveが有名だ。いまではEvolveインスパイア、コピーとも言える中華ボードもたくさんある。2in1の概念を生み出したのもEvolve、そして今日まで経営を続けて頑張っているのも古参のEvolveであり、対してboosted、Inboard、enertionは消えた。消えたこれらはみんなストリートウィールオンリーのメーカーだった。

①の方式は基本的にタイヤとフレックスデッキにより衝撃吸収を担う。ダブルキングピントラックはブッシュが1トラックあたり4個もあり、これまた衝撃吸収の役割を担う。デッキはロングボードデッキであり長距離も快適だ。カービングもゴキゲン。スピードもそこそこ。DIYでATボードを作るにも敷居が低い(?)。1番スケボーらしいのも①で、そもそも成り立ちがスケボーの電動化という感じだ。

タイヤはおおよそ6〜7インチで少し小さい。モノによっては8インチも履けなくはないが6インチは舗装路で快適、7インチは砂利道も行けますというちょっぴりオフロードというカテゴリーが①だ。価格もATにしては安価・・・とは必ずしもならず、最近発売開始されたEvolve Hadeanはけっこう高額である。

②はマウンテントラックなのだが、独自のトラック構造ゆえにデッキも前後に角度がついたマウンテンボードデッキもセットになる。このマウンテンボードデッキの在り方も電動の世界では近年考え方が変わりつつある。大きなアーチを描く形状タイプはロングライドには適さない。

↑ Haero Bro マウンテンボードデッキ。スタンスの部分は前から後ろまでほぼ水平でフラット。そしてスタンスの部分の左右にはしっかりコンケーブがある。これは電動用というわけではないがナチュラルで快適なマウンテンボードデッキが求められた結果コレが出てきたとも言える。

↑ 従来のマウンテンボードデッキ。前から後ろへと大きなアーチを描いている。そして左右はフラットでコンケーブ無し。これは長距離が辛い・・・

↑ 「コンケーブが無い!」とガチャガチャうるさい私みたいなユーザーが増えたせいか、Trampaも後付けコンケーブのデッキをリリースし始めた。これでつま先とカカトをしっかりホールド出来るね!

前回の投稿のとおりで高級電動マウンテンボードもこの流れに沿ってデッキ形状を変えてきた。ガチの電動マウンテンボードはTrampaだけとも言える。Trampaは意地でもトップマウント式のバッテリー(デッキの上、スタンスの間にバッテリーを載せる)を採用し、電動の世界ではスタンダードなアンダーマウントバッテリー(おなじみのデッキ下のバッテリー搭載)を認めない。オフロードなんだから腹下にバッテリーなんか積まないよ、走行中に岩とかにバッテリーが当たったらどうすんの?というスタイルである。これもまた独特だ。

Trampaは別として、②ははじめはマウンテンボードデッキにアンダーマウントのバッテリーというスタイルから始まり、時代の変化でデッキも独自に変化していった経緯がある。

綺麗な舗装路を走るストリートボード、そこからSUV的な要素を加えた①、そしてよりアドベンチャーマシン的な要素を加えたのが②である。マウンテンボードトラックはアクスルシャフトが太い。ストリート8mmに対して12mm。これが①との大きな違いでもある。これは頑丈なだけではない。タイヤがデカくなれば軸となるベアリングの大口径化も必須である。8インチタイヤに8mmベアリングではベアリングの負荷が大きすぎる。②は8インチタイヤが主流で①よりも走破性が高い。ATの電動スケボー(マウンテン)においては、ちょい高額〜メチャ高額と価格の幅が大きいのも②の特徴である。

そして③、これはBaja boardを元祖とした4独サスペンションのオフロードタイプである。悪路走破性と快適性においてはこれが一番だろう。これの難点はDIYにはまったく向かないことだ。バッテリーケースが剛性を担う独自のフレーム構造でスケボーというよりもまさに電気自動車、ラジコンに構造が近い。③の形はスケボーかもしれないが、構造的にスケボーと呼ぶには少し抵抗があるレベルで、①とはまるっきり違う。

これは正直完成品を買うしかないのだが、ついにPROPELのような低価格サスペンションボードが出てきた。まだ③には乗っていないので断言は出来ないが②よりもさらに快適で走破性も高いのでは?と考えている。同時に③は今後勢いづくカテゴリーなのでは?と思っている。

世のユーザーが求めているのは快適に長距離を走れ、なおかつオフロードも走れちゃうよというATマシン。タイヤの大口径化、大容量バッテリーへと進化。スピードもそこそこに登坂力も求められる。デッキも快適性を求めた形状。

そして一番の本音を書く。「あまり派手なパフォーマンスアクションはやらないよ」「長距離と快適性がとにかく一番だよ」である。これは人による。ケツを流してドーナツ旋回するとかジャンプ台で飛ぶとか、そういうのをやらない人が大半なのではないか?それを否定するわけではない。多数派か少数派かの違いであり、多数派たちが今のATボードのトレンドを作っているのだと思う。

①〜③を選ぶにあたり、快適性と走破性はおそらく③②①の順番。DIY難易度は①②③と逆になる。③はまだ未知数の部分があるが、ENDEAVOR Proが届いたら乗ってしっかりと結論を出すつもりだ。③は買いか、まだ待つべきなのか?