電動スケボー自作の意義

電動スケボーを自分で作りたいと考える人がこの世の中にわずかにいると思う。このブログはそのわずかな人たちを少しでも手助けをしたいということで始めた。

2020年の今、自作にメリットはあるのか?私の答えは「市販の電動スケボーに満足できないならどうぞ」である。

まず完成品の電動スケボーにはコスパでは敵わないと言っておく。いまの$400〜$1000の中華ボードと同等の性能を自作で実現しようとするとコストは完成品の価格を上回る。安く作りたいというのは幻想である。

こんなブログをやっていながら、「中華ボードがオススメですよ」が私の口癖である。電動スケボーをやったことがない人が「一から自作したいんです!」と言ってきた場合、私は「まずは完成品を買ったほうが良いですよ」と言う。

自作したいという人の根拠にもよる。工学、DIYの観点が先に来る人ならばいきなり自作も良いかもしれない。感覚としては知育玩具みたいな捉え方だ。工作が好きでその制作過程・結果として電動スケボーを作ってみたいんだという人。しかしこれはかなりのレアケースだ。そういう工学的分野に明るいインテリな人はまずリスキーな電動スケボーなどに興味を示さない。電動スケボーをやる人は、人間の平均値としてリスクをあまり考慮しないある種の頭の悪さが必要である。これは工学分野に明るいインテリな人の合理的思考と完全に相反する。

電動スケボーの自作とは、リスクを辞さない頭の悪さと工学的インテリジェンスが融合した趣味なのだ。

工学的な素養もなく勢いだけで自作したいと言っているならばまず完成品を買って電動スケボーがどんなものかを知ったほうが良いと思う。

一番まともな(?)経緯は完成品を乗り回してもう満足できなくなったから自作でさらなるハイスペックボードを手に入れたいという願望である。私はこのルートだ。

経緯はともかく、「自作するぞ!」という意思が固まった場合、次なる障壁は「何をするのかわからない」だ。このブログはここに焦点を当てている。当ブログの自作データベースを参考にしてもらいたい。

ここからはタイトルの回収である。自作の意義はなんぞや?

電動スケボーというジャンルの中で自分の理想を形にする。さらなるパワーや走行距離を手に入れる。思い通りに操れる、走っていて気持ちの良いボードを構築する。なにしろ自分が作ったボードがビュンビュンと走るのが楽しい。飾って終わりのプラモとはまた異なる達成感がある。

その過程で電気やら工作の経験や扱い方を得る。ドリルでデッキに穴を開けたり、鬼目ナットの使い方を覚えたりする。ハンダ付けしたり、グルーガンで接着したり、ケーブルやらゴールドプラグの規格を覚えたり、リチウムイオンバッテリーセルにも詳しくなる。直流限定だが電気にも詳しくなる。海外通販などもはや生活の一部になるだろう。デッキを塗装すれば塗装の技術も向上する。堅牢な設計をするにはどうするか創意工夫が求められる。VESCという素晴らしいテクノロジーに触れる。ブラシレスモーターにも詳しくなる。

ズブの素人が試行錯誤して、この拙いブログをどうにか参考にしてくれて自力で一台組めれば、それだけで膨大な経験値を得られる。この経験は生活や他の趣味でもきっと活かせるだろう。

自作の意義はこの経験だと思う。2台、3台と組んでいけば完成度も上がる。周りの人が驚くほどの動力性能を実現したボードを自力で組み上げる喜びはまさにプライスレスである。

ハッキリ言って自作はハードルがめちゃくちゃ高い。金も時間も手間もかかるがそれらを受け入れる覚悟があるならチャレンジする価値は大いにあると思う。完成品に満足できなくなった人には自作という次の扉が開かれているということだ。

ひとつアドバイスできることは自作はとにかく焦らないことである。焦るとロクなことがない。