充電器

充電器は当ブログであまり触れてこなかった項目だ。これも前回のトンネルライザー同様忘れていただけである。

電動スケボーを自作するにあたり、充電器は自分で用意する必要がある。完成品は必ず充電器が付属する。ここが大きな違いでありながらいままでスルーしてしまった。なので今回は充電器について触れる。

↑ 充電器は裏側に必ず充電電圧が記載されている。

まずインプットの項目、これは100V-240Vと書いてあるがこれは入力電圧を示しており、100V-240Vという記載は電気的にはほぼ万国共通で使えるということを示している。

たまに「海外から買うんだから日本とは電圧違いますよね?変圧しないとダメですよね?」という人がいるがもうそんな時代ではないのだ。製造メーカーもいちいち各国向けに入力電圧を固定したりしない。かえってコストがかかる。100〜240Vのワイド対応にして同一のものを生産したほうがコストが安いし世界中のユーザーが安心して購入できる。インプットはその国での入力電圧であり、日本はAC100V。つまり記載の範囲内なので問題は無い。

周波数も50/60Hz共通で使えることが記載されている。これも「西日本と東日本では周波数違いますよね?」という疑問がどうでも良いということを示している。

次にアウトプット。実際にバッテリーに充電される電圧と電流が記載されている。上の画像では42Vとなっている。リチウムイオンバッテリーひとつあたり4.2Vが満充電の電圧。それが10直列で42V。つまりこの充電器は10直列用であることがわかる。

12直列なら4.2V × 12 = 50.4V

14直列なら4.2V × 14 = 58.8V

・・・がそれぞれの充電電圧であり、それに合わせて記載も変わる。

そして2Aと書かれている。これは充電電流を示す。充電の早さはここで決まる。2Aは市販の完成品電動スケボーにおいてはスタンダードな電流だ。

自作をするにあたり、とくにデカいバッテリーを使うならば最低4Aは欲しい。4Aは大抵のBMSが対応できる充電電流だ。それでいてそこまで充電も遅くない。

充電時間を大雑把に計算するにはバッテリーのスペックを知っておく必要がある。例えばサムスン30Qセルはひとつ3Ah(3000m Ah)。これが4並列なら12Ahだ。

Ah(アンペアアワー)とは1時間放電できる電流を示す。3Ahなら3Aを1時間放電できる。12Ahなら12Aを1時間放電できるということ。これに電圧を掛ければワットアワー(Wh)となる。

充電器が2Aなら 12Ah ÷ 2A = 6時間

充電器が4Aなら 12Ah ÷ 4A = 3時間

サムスン50Eセル8p(8並列)なら、5Ah × 8pでなんと40Ah。

充電器が2Aなら 40Ah ÷ 2A = 20時間

充電器が4Aなら 40Ah ÷ 4A = 10時間

これが大雑把な計算法であるが、これはほぼ空の状態(1セルあたり2.8V〜3.0V)からの充電であるので実際にはもう少し充電時間は短くなる。現実にはだいたい1セルあたり3.2V〜3.5Vあたりから充電を始めると思うので、上記計算の80〜90%くらいの時間で済むと思われる。

充電前の残量が多ければそのぶん充電時間は短くなる。リチウムイオンバッテリーはニッカド のようにメモリー効果もないので半端な残量の途中からの充電もオッケーだ。

画像の赤い円で囲んだ部分は充電プラグのプラスマイナスの位置を示している。この画像の充電器ではプラグの真ん中のピンがプラス、外側がマイナスであることを示している。ほんとうにごく稀に逆のパターンがある・・らしい。

充電器に記載されたスペックの見方はわかった。どこで買う?スペックの見方さえわかればどこでも良いのだが、AliExpressが無難だろう。

↑ AliExpressで買えるWATEの充電器。充電電圧、充電電流も種類が豊富だ。「12s charger」などで検索すると良い。この画像の充電器は12s50.4V、4Aの充電器だ。12sなら「50.4V」というのがポイントだ。12sと言えどもLifePO4用(リン酸鉄リチウム)は充電電圧が違うので間違いないようにしよう。「4.2V × 直列数」が充電器に求められる電圧だ。

↑ 買うときにプラグとソケットを選ぶことができる。4Aで充電するなら画像左上で選択されているスタンダードなDCプラグで良いだろう。ボード側もDC-099で対応できる。

「俺は4Aなんておっそい充電時間じゃ我慢ならん!」というなら他のXT60などを選ぶこともできる。もちろん同時に8A10Aと充電電流の大きい充電器にアップグレードする必要がある。値段も比例して高くなる。

選択するソケットは米国だ。日本はない。この米国ソケットは3ピンなので日本の家庭標準である2ピンの電源ソケットに変換する必要がある。

↑ こういう変換アダプター。ホームセンターや家電店で売っている。数百円。

↑ 充電器のケーブル自体を家庭用2ピンプラグに変換するという方法もある。

↑ 家庭のコンセントを3ピン仕様に変えるという荒技もある。私は一ヶ所だけこれに変えてある。付け替えは簡単だ。そんなに難しくない。充電をする家でのコンセントは大体同じところを使うだろうから(玄関付近など)、そこだけ3ピンコンセントに変えるのもアリだろう。ちなみにこの3ピンコンセントは従来の日本家電でお馴染みの2ピンプラグも使えるので上位互換ということになる。

最後に、ボード側の充電プラグに使うBMSとバッテリーの配線は充電電流に比例したケーブルを使う必要がある。私の場合、4A充電器ならホームセンター等で売っている0.5sqの配線をボード内部の充電ケーブルとして使う。

私は過去に2A充電器が付属品である中華ボードに4A充電器を使用して実験したことがあるが、内部の配線が異様に熱を持った。内部のケーブルが4Aに対応していない細いものだったからである。

こういうことをするとケーブルが焼き切れたり、焼き切れた後にプラスとマイナスが接触してショートしたりするだろう。ショートの際に完全に焼き切れるのでリチウムイオンへの引火まではしないとは思うが・・・

もうひとつ最後に、

充電電圧(充電器)を

絶対に間違えないこと!

とくにバッテリーの満充電電圧よりも大きい充電電圧だった場合

これはほんとうに火災になる可能性がある。

参考としてBackfireはこういう人災を防ぐために、12sボードと10sボードでプラグ形状を変更している。充電器の挿し間違いがないようにしているのだ。