FOCBOX Unityに光明が射す

Enertionが倒産し、FOCBOX Unityはもう作られないというのが最近での話だった。

ところが、このまま終わると思われたFOCBOX Unityに光明が射し始めている。ポイントはふたつ。

ひとつめは謎の販売者がFOCBOX Unityを売り始めている。それも安く。

これがその販売者へのリンク先。

ただし、まともに配送されるかどうかは不明だ。もし買うなら自己責任でお願いしたい。出どころは中国のサプライヤーなのか?ジェイソン氏なのか?破産管財人による手引きなのか?まったく不明だ。

Unityだけならサプライヤーかもしれないが、リンク先の販売者はUnity以外にもラプター2.1の部品を総合的に扱っているのでその線はなさそうだ。破産したジェイソン氏という線も疑問だ。詐欺サイトなのか?今のところ謎である。

そしてふたつめのポイントとして、本家VESCとファームウェアが統合される可能性が高まったことだ。いままでFOCBOX UnityはVESCベースでありながら独自のファームウェアで動いていた。

基本的にVESCはあくまで1ユニットで1モーターの制御。フリップスキーのFSESCは仮想デュアルであり、見た目は1ユニット・2モーター制御に見えるが、あくまで見た目だけであり、ひとつの基板にVESCをふたつ実装しているような設計だ。

FOCBOX Unityは1チップでふたつのモーターを制御する。FSESCと同じデュアルVESCでありながら、中身はちょっと違うのだ。

時系列でいくと、モーターのキャリブレーション(初期設定のようなもの)をするとき、昔のVESCは1個ずつモーターのキャリブレーションをしていた。パソコンとVESCをUSBケーブルで繋いでBLDC Tool(現在のVESC Toolの前身)でキャリブレーションする。そのあともうひとつのVESCにUSBを繋ぎ直して2個目のモーターをキャリブレーションしていたのだ。

その後に出てきたFOCBOX Unityの革新性はこの部分にある。Unityはスマホアプリでふたつのモーターを同時にキャリブレーションできた。エンクロージャーを開ける手間もない。速攻で初期設定が終わる。衝撃だった。

そして本家のVESC Toolも追随するかのようにデュアル同時のキャリブレーション機能を実装してきた。

このタイミングでEnertionの経営が怪しくなり、ついに倒産。Unityは惜しまれつつ消えると思われていた。

ところが、VESCファームウェアにベータではあるもののFW5.00が出てきた。

↑ これである。

独自のファームウェアから脱却し、本家に統合される流れになる。FOCBOX Unityは死なず。しかしこのキッカケがEnertionの経営悪化、倒産によるものだとしたら皮肉な話でもある。Unityの開発者であるジェフリー氏とVESCの開発者であるベンジャミン氏の協力が実現したタイミングだからだ。

販売面に関しては微妙な部分もあるが、ストームコアへの過渡期になる現在においてUnityは貴重なESCだ。見捨てられることなく最新のファームウェアの恩恵を受けられる見込みだ。

いずれはストームコア60Dにとって変わられるだろうが、いま自作で電動スケボーを作りたいならばやはりUnityは有力な選択肢となる。