Enertionの失敗から学ぶ

↑ 倒産したEnertionの元代表だったジェイソン・ポッター氏がESK8 Buildersのフォーラムで質問に答えている。

これが電動スケボー産業の実態そのものだと思う。

過去の私の投稿と大方の理由は合っている。

そして中国がこの産業のほとんどを握っている点も。

まず欧米豪、そしていちおう日本も含めて中国以外の安い電動スケボーの製造、販売はまず不可能であり商売として失敗するであろうことを言っている。

そしてひとつのメーカーが何でもやるのは厳しいことも。やはりESC、デッキ、モーター、バッテリーなど、個々の部品は専用のメーカーに任せるほうが良いだろう。

↑ これが自転車操業そのもの。プレオーダーでお金を集めてそれを製造業者に支払う。同時に需要の憶測を立てる。

納期通りに部品が納品されるか?そしてそれが要求している品質を満たしているかどうか?ここもギャンブルに近い。ダメならば作り直しで時間と資金をさらに圧迫する。まるで綱渡りだ。

今後、中国以外から安い($1000以下のボード)メーカーが生まれるのは極めて難しいと思う。安いボードは今後すべて完全な中国製となるだろう。生産から販売まですべて中国。

それ以外の国では高価格、高性能なプレミアムボードを作ることでどうにか成り立つであろうことを言っているが、これも一筋縄ではいかないだろう。これは相当なニッチだ。

Inboard、boosted、enertion、これらの失敗に私なりのもうひとつの私見を述べるなら

「電動スケボーに乗る人と、それに興味がない人との感覚や考え方の不一致。電動スケボーに乗る人はこれが素晴らしい乗り物であることを信じて疑わない。」

というのが根底にあったのだと思う。私はBoosted boardsを初めて見たとき、「これは革命だ!日本はダメだとしても海外では交通に大きな変化が起こるぞ!」と思ったが、そうにはならなかった。実際には、

「電動スケボーに乗る人が思っている以上に、万国共通で興味がない人が多数派だった」

さらに付け加えて、怪我人やらトラブル、電動スケボーを嫌悪する人の存在。そしてかえって各国の規制が強まりワット数やら速度に大きな制限を掛けられるようになった。

ようはテクノロジーや利便性に対する大きな期待と現実は異なった。

需要の少なさ、中国主導の産業構造、貿易摩擦。電動スケボーは今後も消えることはないだろうが、大きな利益を生む産業でもなければ、おそらくスター企業も生まれないだろう。なにか市場で独占できるすごいテクノロジーでもない限りは。