3Dプリントエンクロージャー

3Dプリンターによる電動スケボー用エンクロージャーは私が密かに追い求めてきた課題だ。

これは大きさによって製作の難易度が大きく変わる。BoostedやWowgoのような10s2p、12s2pなどの小さいバッテリーパックで、なおかつエンクロージャーに柔軟性を大きく求めないモノなら簡単だ。タッパーのような容器のイメージで箱を設計すれば良い。それを一気に印刷して終わりだ。多少壁を厚めに設計しておけば大きな問題もないだろう。

これが10s4p以上のシングルスタック、またはそれの2倍のダブルスタックとなると難しい。一般のユーザーが家庭で使う3Dプリンターでは大きな造形物を印刷できない。せいぜい200mm ^3、または300mm ^3あたり。

大きなバッテリーパックは前後長が500mm、600mmを越えるので2分割、3分割で設計しないとならない。

また分割した印刷物の接合も課題だ。接着剤では強度を保つのが難しい。

使うフィラメントも限られる。脆性、靭性、適度な剛性としなやかさや粘り、耐衝撃性、耐候性、耐熱性、耐油性、経年劣化への耐性・・・色々考慮する必要がある。

フィラメントの扱いやすさもポイントとなる。印刷しやすく、寸法精度が高く、出来れば綺麗に印刷できることに越したことはない。

これらを考慮した設計としては分割式フレックスエンクロージャーがベターだと思う。Winboard Spark XやSlick Revolutionのようなエンクロージャーだ。

フィラメントの選定としてはTPU、ナイロンが候補となった。TPUはフィラメントのメーカーによって硬さも変わる。エンクロージャーで使うなら硬めが良い。ナイロンは理想の素材だが恐ろしく扱いが難しい。湿気を吸うとほぼダメ、使い物にならなくなる。

今回はTPUでフレックスエンクロージャーを作った。

↑ マウンテンボード用だ。

実は今回の投稿、前回投稿した「花王ケープスーパーハード」の続きである。

使用デッキはMBS Comp95。フレックスエンクロージャーとし、ブロックごとに分割して印刷した。つまり画像のものは5個に分けて印刷されている。それらの接合はネジを使っている。

設計そのものは3Dプリンターにおけるエンクロージャーの理想の設計となった。問題はフィラメントの耐久性だ。TPUは靭性、耐衝撃性は抜群だが、耐熱性に疑問が残る。炎上のような事態は論外として、夏場のアスファルトの照り返しなどで果たして形状をキッチリ保てるかどうか?この部分に関してはナイロンに軍配が上がるだろう。

まだ結論は先になるが、エンクロージャーも自力で作れば自作の自由度が大幅に増すのはたしかだ。