Boosted、お前もか?

こちらの記事による。どうも経営状態がよろしくないようだ。

Boostedといえば、電動スケボーにおける最大のブランド。そのBoostedに異変が起きている。

最近はBoostedビームやら105mmウィールやら、新パーツをリリースしていたので新型ボードを近々リリースすると予想していたのだが、事態は逆の方向に向かっていたようだ。

記事によると過去2ヶ月で副社長3人を含む20人の退職。これは明らかに悪い兆候。また米中の貿易摩擦も影響が大きいようだ。ここまで具体的な悪化の記事が出た以上、おそらく再起は難しいだろう。10中、8、9は終わりだと私は思っている。

時系列からして、Boostedビームや105mmウィールの発表は11月中旬。以降に状況が悪化したと思われる。ここで何かしら歯車が狂ったのだろう。

商品展開としては新規の電動キックスクーターの失敗、そしてBoosted boards自体の訴求力の低下。

キックスクーターRevの失敗はその重さによりキックスクーターの良さをスポイルしていることだと思う。日本の感覚で言えば、走行性能を求めて重くなるなら原付スクーターのほうがマシ、電動アシスト自転車の方がマシだと思われてしまう。海の向こうでもモペットやら電動バイクやら他ジャンルのライバルがいる。

またInboard社の失敗と同じく、電動キックスクーター自体がレッドオーシャンな市場だったこともあるだろう。競争が激しすぎるのだ。Revを買う意味があまりない。

そして電動スケボー。Boostedに関して言えば「もはや高いだけで買う理由なし。いずれ威光を失うだろう」と、このブログでも言ってきたが、ついにこういう事態になってしまった。

Wowgo3X、近々登場するであろうExway FLEX。Boostedの半額でありながら性能は上。Boostedを買うのはハッキリ言って賢くない。

またこれも常々言っていることだが、電動スケボー自体がニッチだ。とにかく市場が小さい。市場拡大には良い商品であることはもちろん大事な条件だが、「誰でも扱える」ことが必須条件だ。老若男女、誰でも扱える製品ほど需要も市場も大きくなる。電動スケボーは誰でも扱えない、乗り手を選ぶ。パワーが上がるほど乗り手を選ぶ。そして危険な乗り物だ。

趣味で普段乗っている人からすると「実際に乗ってみると簡単だよ?」と言いたい人もいるだろう。しかしそれを人に言ったところでまず聞く耳を持たれないだろう。危ない乗り物であることは明白であり、初めから手を出さなければリスクを負うことはないからだ。そしてその数少ない乗り手の中から転倒によるケガで姿を消す人もいるだろう。

Boostedがここまで成長したのはケイシー・ナイスタットのYouTubeによる宣伝効果。そして市場で1番初めにまともな電動スケボーを販売した先行者の利、そこからのブランド化だと思っている。

しかし電動スケボーの世界は進化し、今では上ははるかに高性能なボードがたくさんあり、下もはるかに安くて同等程度の性能を有するボードがすでにたくさんある。その板挟みでどうにもならないのが現状だったのではなかろうか?

以上から、ニッチな市場で限られたパイの奪い合いに、いよいよ引きずり込まれた形だ。いつまでも先行者の利は通じない。

実のところ、現行の3rd Genがリリースされたときにかなり不満があった。「結局2ndとさほど変わらないじゃないの?」と。バッテリー容量は相変わらず少なく、スピードも大したことなく、ウィールも85mm。音もやかましい部類だ。

1番の失望はバッテリーとESCを前後に分けたセパレート方式から脱却できなかったことだ。「大きな進化はありません、現状に留まります、新しい設計や大幅なスペックアップの模索はしません。」という意思表示だと私は捉えた。

私はこんなことを言いつつBoosted Stealthを所有していたが、ブランド力があるうちに売却した。乗れば乗りやすい良いボードだったが、実際には満足度は低かった。10kmちょっと走ればバッテリーはおしまい。スピードも遅い。音も人によってはうるさいと文句が出るレベルだ。

大したことがないスペックのボードを丁寧に見栄えよく作っているだけ、とも言える。

そのまま今日まで来てしまった。いまだに新型の噂は出てこない。仮に新型が出ます!となった場合でも

「ここからEvolve GTRやOwn board AT・GTを凌駕するような新型のボードを、Boosted社は競争力のある価格で販売できますか?」

「それともStealthを、Wowgo 3XやExway FLEXと同等の価格まで下げますか?」

どちらもおそらく無理だろう・・・

「いまさら、またセパレート方式のボードを$1500あたりでリリースしたとしても、もう誰にも相手にされないぞ・・・」

この件には続報があります。