Boostedの終わり(?)

Boostedはすでに経営状況が怪しいというニュースあり、それについて前回投稿した。

そしてこのたび、

これを公式が認め、発表することとなった。

現在、Boostedの公式サイトではすべて売り切れになっている。

まず、米中の貿易戦争の犠牲になった件がひとつ。ハッキリ言って現状では米国のメーカーが電動スケボーを販売するのは厳しい。Inboard社は破綻し、ACTON社はXiaomiの傘下になり、Exwayの北米販売支店は閉めた。また、アメリカ企業ではないがEvolveもアメリカでは異様な高値で販売せざるを得ない状況になっている。Boostedはフォックスコンで製造しているという。25%の対中関税はあまりにダメージが大きい。電動スケボーに対する25%の関税は見直されるという話ではあるが、動きが遅すぎた。

電動スケボーは中国の部品で成り立っているのに、アメリカは中国と喧嘩をしている。

中国ブランドのボードのほうが安くて高性能、さらに生産のお膝元でもある。すべての部品は中国で安く揃う。アメリカに拠点を構えてアメリカ人の高い給料やら賃貸料を支えながらボード自体は中国で生産し高い関税を払う、というビジネスモデルはあまりに難しい。中国で作って中国メーカーが販売したほうがはるかにコストは安い。

そしてBoosted Revという電動スクーター、これも良ろしくない。前後にモーターを付けて重くなった。重いならホイール径の大きいモペットや電動バイクのほうが高速安定性や段差の走破性においてはるかにマシだろう。そして電動キックスクーターはすでに他メーカーが多数参入しているレッドオーシャンな市場、いまさらである。Inboard社とおなじ轍を踏んでしまった。またこれが相当財政を悪化させたという話もある。

そして散々このブログでも言ってきたとおり、値段が高いわりに大したことがないボードを売り続けたツケがいよいよ回ってきた。200Whに満たないボードを$1500で売るのは2019〜2020年においては時代錯誤である。そんなものは今となっては誰も買いませんよ、と。

Boostedが過去に他社に対して優位を保っていたのはESCの出来の良さである。これが中華ボードに並ばれた時点で、残りの優位性はこれまでに築いたブランドと先行者の利。中身や技術での優位性は無くなった。3rd Genがデビューしても革新性が何も感じられなかった。このたびの事態になったのは時間の問題だったのかもしれない。

散々見た目や構成をパクられて似たような中華クローンがたくさん出てきたのも痛い。やたら高い本家より安くて出来の良いクローン。やはりユーザーは中身と値段のバランスで製品をチョイスする。

身売り先、買収してくれる先を探しているという感じだが、これにも私は懐疑的だ。ブランドネームだけでもはや中身がない。電動スケボーはブランドよりも中身だと思っている。そしてBoostedが大したことのない値段だけ高いボードであることは愛好家なら何となくわかっているだろう。私の感覚からすれば、boosted stealthの2020年3月現在の適正価格は$700〜$800くらいが妥当だと思う。多くの中華Boostedクローンと同等くらいの価値。バッテリー容量においてはすでにクローンに負けている。

いまさら競争力において他社に劣る落ちた看板だけもらってもどうにもならない。ましてや前回の投稿の時点で、核となるスタッフ達が多数、すでにBoosted社を去っているのだ。上で述べたとおり、アメリカの資本であるかぎり復活の目はない。中国企業に買収されるか?

中国企業に買収されたところで抜本的に製品を変えないと企業として浮上はしないだろう。多くの中華ボードと同じかそれ以下のボードではもう話にならない。そんなラインナップで中華資本のもとで経営したとしてもおそらくユーザーの心には何も響かないだろう。それはもう本当に名前だけであり、同じ国にいくらでも高性能で安く販売してくれるメーカーがたくさんあるのだから。

残念ではあるが、90%以上終わったと私は見ている。盛者必衰、恐ろしい世界である。

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Samuel James

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