Evolve Bamboo GTのダブルスタックカスタム用のパーツを製作しているのだが、前回の投稿のとおり、ただバッテリーセルを2段重ねにするだけでなくもうひとつ工夫をする。これはダブルスタックならではの技法だ。
↑ こんな部品を作った。これも3Dプリンター製。
↑ 右のほうにある青い部品がそれだ。
↑ 黄色い枠で囲んだ緑色の基板がEvolveの純正ESC。青い枠で囲んだ部分がBMS。バッテリーと一緒に黒いラップをされていて見えない部分。中身は40mm × 120mm程度の基板だ。
通常のシングルスタックでは上の画像の場合、左からバッテリーセル・BMS・ESCと順番に並べて配置しなければならない。しかし、ダブルスタックだと厚みに余裕があるのでBMSの配置を変えることが可能になる。
↑ 今回の青いパーツはESCとBMSを2段に重ねるためのパーツだ。これによりさらにバッテリースペースを稼ぐことが可能になる。青い部品の上にBMSを移す。この青い部品の固定はESCのヒートシンクを固定しているネジ穴を利用して共締めする。
↑ この部品にはもうひとつの工夫がある。赤円の部分がバッテリーストッパーとなるのだ。ボードを壁に立てかけたときにエンクロージャー内部でバッテリーが下に落ちてESCやBMSにぶつからないようにするためのストッパーの役割を果たす。
これにより、気合を入れてバッテリーを組めば18650で10s8pも可能だ。Samsung 35EやSanyo 18650GAを使えば1008Whまで増やせる計算だ。もちろん重さを考慮してもう少し減らすのも良いだろう。いずれにせよバッテリー増量の自由度は大幅に増す。ATの電費の悪さをカバーするには充分な容量だろう。
ダブルスタックとは、シングルスタックに対して単純に容量2倍というわけでもなく、工夫次第で2倍以上にもなるのだ。このEvolveのエンクロージャーは、シングルスタックで純正のリポから18650セルに変えるならば10s3pが限度だ。10s4pは少し難しい。BMSが邪魔になるからだ。
さらに3pの場合では放電力の強いセルを使わなければならないので容量はもっと下がる。これがダブルスタックなら並列を増やせるので、放電力が弱いぶん容量が多めのセルを使えるのでトータル容量はかなり増える。セルひとつあたりの放電力が弱くても8並列なら余裕でカバーできる。
現に、Bamboo GTの吊るしの容量は36V × 6.5Ahで234Wh。今回のダブルスタック化で10s8p、低放電高容量の35Eや18650GAを使うことで1008Whと、4.3倍以上にも容量が跳ね上がる。8pにより、最大放電電流も8p × 8A(or 10A)で64Aまたは80Aとなる。(8Aは35Eの定格、10Aは18650GAの定格)
ただしEvolve特有の欠点もある。GTシリーズは35Vまで電圧が落ちると強制的にエコモードになる。元がリポ前提なのでそういう設定なのだが、18650でこれは少しタイミングが早いエコモード移行である。せめて34〜33VくらいまでGTモードを使わせてもらいたいところだ。