EOVAN

今回の表題であるEOVANという中国のメーカー。ここからかなり威勢の良い製品が出てきた。EBESC6.0(いわゆるVESC6.0)、そしてそれを搭載した完成品ボードである。威勢は良いが「???」な部分もある。それも後述していく。

ついに出てきたVESC搭載中華ボード。ある意味リーサルウェポン。Ling Yi ESCがダメでしたとか、この仕様のホビーウイングESCはブレーキが甘いですとか、そんな悩みは全て消える。VESCはアクセル、ブレーキを好みに合わせて細かく調整できるからだ。

過去に私以外のVESC搭載車に乗せてもらったことがあるが、これがまた私とはけっこうフィーリングが違うのである。違いが出てくるのはやはりブレーキフィーリングだ。入力初期からガツンと効かせる人、入力初期は甘めにしている人、その度合いが様々である。つまり絶対的にこれが最高の調整ですという設定は存在せず、十人十色ということだ。

EOVAN MAX

VESC搭載、穴あきラバーウィールとダイレクトドライブ。そして12sバッテリー。装備はすごい。

そして少し安いハブモーターのモデルもある。

このハブモーター、Skull boardのハブモーターと似ているがどうやら仕様は異なるようだ。Skull boardのものは350W、64KV、10sまで。

EOVANのハブモーターは750W(完成品のほうは500Wと記載されている)、60KV、12sまで使える。値段も$185と自作に使っても良さげなドライブだ。

EOVAN MAXは充電の仕様が50.4Vなので12s。Skull boardのハブモーターよりもKV値が少し低いが、そのぶん高電圧で最高速を伸ばすのだろう。

しかし疑問に思う部分もある。Skull boardのハブモーターは18〜20Aでの使用を推奨している。熱に対処できないからだという。見た目そっくりなEOVANのハブモーターが12sで50Aまで使えるというのは普通に考えればあり得ない話だ。Raptor2.1のハブモーターも熱処理にはまともに対応できず、当初威勢よく12s(50V)に80Aで4000Wと言っていたが、実際にそんなすごい設定で使えることもなく、どんどんトーンダウンしてしまった。電動スケボーにおけるハイパワーのハブモーターは幻のような存在である。

最大3000Wというのは本当に瞬間的に50Aを流せるというだけで、

定格750W ÷ 50V = 15A というのが現実的な数字だろう。これなら辻褄も合う。デュアルなら合計30Aだ。使う上でこの部分を押さえておけば良いドライブだと思う。

中身のVESC6も別売りで購入できるが、これも異様に安い。FlipskyでもFSESC6 Plusは$279だ。サイズはFSESC6.0Plusのほうがわずかに小さい。しかしこの1〜2cmの差が自作にはかなり効いてくる。

話をダイレクトドライブのほうに戻すと、相変わらずこちらはダブルキングピン。そしてフロントトラックがリバースキングピンという謎仕様になっている。60km/hを謳うならリアがリバースキングピンだろう。

リアがダブルキングピンではそんなに速度を出せないだろう。理論値として60km/h相当までウィールは回るが、現実的にはそんな速度で走れないであろう構成である。

そんなこんなで全体を通じてウソくさい記述もある。ただVESC標準というのはかなり脅威だ。いままで完成品に普及が進まなかった理由がいまいちわからない。今後は中華ボードもVESCという時代が到来するのだろうか?