私は3D Servisasのギヤドライブを愛用しており、とても気に入っている。トルクフル、ブレーキしっかり効く、モーターの放熱性が良いなどメリットが多い。
ギヤボックスはモーターの放熱を助けるヒートシンクであると共に、モーターの熱を利用して内部のグリスを溶かしギヤを潤滑させる役割も持つ。冷えればまたクリーム状に固まる。
欠点もある。組み立てが少し面倒。あと音が少し大きいことだろう。この音に関しては人によって考え方が異なる。とにかく静かなものが良いという人もいるし、多少は音が出ているほうが周りに気付いてもらいやすいという人もいる。
自転車やジョガーを追い越す時、音が出ている方が気付いてもらいやすい。音が静かなハブモーターでは、目前で後ろの確認も無しに突然斜行されて何度か怖い目にあったことがある。とくに最近はBluetoothイヤホンを付けている人が多いのでなおさら怖い。
最近、3D Servisasでは静音グリスなるものを使用しており、V3では初期型より少しだけ音は静かになっている。
さて、表題について。ARC boardやJed boardはギヤドライブだがメジャーとは言いがたい。しかし、先ほどの3D Servisasもだが、今トルクボードでもギヤドライブを開発している。そして、今回紹介したいのはAVIO ATギヤドライブMK2 ステルスエディションだ。これはまだ開発中だが、個人的にものすごく期待をしている。こうして、じわじわと電動スケボー用のギヤドライブが増えているのだ。
AVIO AT ギヤドライブはもともとHuggy boardと共同でギヤドライブを作っていたのだが、今回はその新バージョンである。Haggy boardのベルグマイスター6インチタイヤは私も愛用しているが、「素晴らしい」の一言である。配送も早く製品の信頼性も良い。
AVIO ATギヤドライブMK2の最大の特徴は山歯歯車というV字カットの歯車だ。ヘリンボーンギヤ。通常の平歯車よりも音が静かだという。
↑ ESK8 NEWSより。V字カットの歯車だ。
同じく音が静かと言われる斜めカットの斜歯歯車(ヘリカルギヤ)だと、回転したときにギヤが横にスライドする力が働く。そしてギヤが横にズレていく。ヘリカルギヤは設計する上で互いのスライド力を打ち消すように設計しなければならない。
この山歯歯車だとピニオンギヤとスパーギヤが横にスライドすることなく、互いに中心の位置を保つ働きをする。これによりモーターシャフトとピニオンギヤをロックタイト638で接着する必要がないという。メンテナンスの時は、スルッとピニオンギヤをモーターシャフトから外せる。
理論上はスパーギヤ(車軸側の大きいギヤ)さえ横にズレないようにすれば、自動的にモーター側のピニオンギヤも横にズレることはないということだ。ピニオンギヤを固定するイモネジも要らないだろう。これはかなり大きいメリットだ。
このメリットはメンテナンスや分解も簡単ながら、ギヤ比も変えやすいということだろう。(歯数の違うピニオンギヤへの変更)
ロックタイト638でピニオンギヤとモーターシャフトを接着すると外すのはかなり困難となる。人力ではほぼ不可能というレベルだ。ハンダこてなどで200度以上の熱をピニオンギヤとモーターシャフトに加えることでどうにかなるらしいが、そういう作業はなるべくやりたくない。山歯歯車ならこの心配もなくなる。
経験上、この手の部品なら開発期間はそこまで長くはない。近いうちに購入できる段階までいくだろう。私はおそらくこれを試すと思う。
ギヤドライブは評価が真っ二つに分かれる。そこまでパワーは要らないよ派だと静かさを求める。ギヤドライブのパワーとブレーキ両面の動作の信頼性が良いと感じる人は気に入る傾向だ。
ダイレクトドライブの静かで超絶に滑らかな加速フィーリングは大好きだが、やはりブレーキの信頼性ではギヤドライブに劣る。今後、少しお値段高めのボードにおいて、この2つのドライブは勢力を広げていくだろう。来年あたりはギヤドライブはもっとメジャーになると思う。
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