省エネ走行、電動スケボーにおいて個人的にはあまり好きではない走り方だ。単純に面白くなく、ストレスが溜まる。しかし頭の片隅に入れておいて損はない知識だと思う。
ものすごく乱暴に言えばゆっくり走れば省エネになる。20km/h以下。それ以上の速度になると急激に電費が悪化し始める。速度が上がるほど二次関数的に電費が悪くなる。空気抵抗が増し、電気的にも速度が速いほど必要なエネルギーも増すからだ。
自転車競技においても空気抵抗を減らしていかにワット数を減らすかに注力している。変速ギヤ用のケーブルを無線ワイヤレス方式にして空気抵抗を数ワット削減とか言っている世界だ。
↑ ロードレースにおけるダウンヒルの一コマ。サドルではなく、フレームのトップチューブに跨るように乗車している。肘を極限まで内側に寄せてを上半身をひとつの球体のように丸くしている。見た目はともかく、空気抵抗を減らすにはものすごく効率が良い乗車姿勢。
電動スケボーで速く走りたいけど電費は抑えたい。ライダーに出来ることはスピードタックと言われる乗車方法だろう。speed tuck。
↑ 本来ダウンヒルに使われるテクニックだが、これが電動スケボーのハイスピード走行においては省エネに大いに役立つ。上半身は前かがみ、かつ水平に。手は後ろで組む。画像では変わった形のヘルメットをかぶっているが、これは首や肩の空気抵抗すら減らすためのものだ。膝から上、上半身が頭の先からお尻まで、横にした卵のように丸くなっている。
スピードタックは遅いスピードではほぼ無意味だが、30km/h以上でとくに効果を発揮する。そこから速度が上がるほど効果が増す。速く走りたいけど長い距離を走りたいならこれはかなり効く。ただし乗車時に不安定になるので要練習。部屋の鏡の前でポーズを取るだけでも充分練習になる。
スピードタックはハイスピードで走る人なら必修項目とも言えるほどの効果がある。体得して損はない技術だ。
ボードの構成で電費を良くする方法もある。転がりを良くしてフリーロールで距離を稼ぐ。フリーロールとはアクセルをオフにした時(電動でなければキックした時)、勢いでどれだけ転がるかということ。アクセルオフで即減速したり、そのまま勢いが減ってすぐに止まるようなボードは電費が悪い。この観点からするとATは軒並み電費が悪い。ゴムタイヤの回転抵抗は相当なもので、とにかく転がりが悪い。最近流行りの6インチで果たしてどれだけ良いか?という感じ。
ウレタンのストリートウィールで言えば大きいほど転がるが、そのぶんゼロ発進、または加速時にエネルギーを使う。逆に小さいウィールは加速は良いが転がりは悪い。
ドライブによって多少変わるが経験上すごく変わるとは言い難い。ハブモーターでもそこそこ転がる物もあれば、転がりが悪いハブモーターもある。ベルトもイメージでは回転抵抗がありそうだが実際に走るとそうでもない。あくまで印象として良く転がると感じたのはダイレクトドライブ。これは本当に良く転がる。ギヤドライブの2WDも悪くない。重たいウィールの回転慣性も働いているのだろう。
たまにあるケースで「やばい、目的地までバッテリー残量が微妙だ!」と感じたらゆっくり走る、エコモードなどに切り替えるのが確実な方法だ。あと向かい風と追い風に要注意。向かい風は想像以上に電費を悪化させる。追い風は電費を良くしてくれるのは良いが勘違いさせてしまう。
向かい風にもスピードタックはかなり有効だ。一番威力を発揮するシチュエーションかもしれない。これは試す価値アリ。自信があって、なおかつ気が向いたら試してみてほしい。強い向かい風のなかでこれをやるのは勇気がいるが、電費と加速の両面でかなり体感できると思う。棒立ちで乗るよりもはるかに電費を抑えつつスピードを乗せることができる。