iOS版 VESC Tool

iOSでそれなりにVESCを弄るならmetrを使うという時代が長らく続いたが、1ヶ月ほど前(この投稿現在は2022.5)ついに正式にiOS版のVESCが出たので使ってみた。

これひとつでモーターキャリブレーションからリモコン設定、そして4大設定からランピングタイムまで設定できる。iPhoneひとつで自作電動スケボーのセッティングが完結する。ようやくだよ・・やった!

今回の投稿は長くなります。

↑ まず、iPhoneとVESCをペアリングするうえで必要なBTモジュール。上の画像のものはFlipskyのnrfモジュール。これは使用可とのこと。あとはmetrもOK。FOCBOX unityの標準BTも使えるらしい?(未確認)
↑ さっそくVESC toolを起動。今回は改造電動スケボーであるEvolve GTX改に搭載しているVESC、Flipsky・FSESC4.20Plusのファームウェア書き換えから始める。さっそくペアリングしてみよう。ボードを検知できたらコネクトをタップ。
↑ 画面最上段に横長にメニュー項目が出てくるのでスワイプして「FIRMWARE」をタップすると・・・

ハイ!いきなり罠があります!

2022.5月現在、iOS版VESC toolでファームウェアをアップデートするとFW5.3になるのだが、これがどうも不具合があるらしく!今回はあえて一回5.3にしてみた。ここからダウングレードして5.2に戻す。

↑ 身も蓋もないのだが、PC版VESC tool 3.00.exeで安定版であるFW5.2を適用するところから始まる。

VESC toolは「最新版こそ最良!」と信じて疑わない謎の信念があるので旧バージョンはPCに保存しておいたほうが良いです。公式サイトは不具合を指摘されても意地でも最新版しか公開しない。あとiOS版ではどうにもならないのでとりあえずPCでダウングレードする。

↑ PC版 VESC tool 3.00でファームウェアを5.3から5.2に移行中の図・・・

FSESC4.20PlusはマイクロUSBがふたつあるので、両方にファームウェアを入れる。つまりUSBを差し替えての2度手間ということになるが、実際は大した手間ではない。PCだと10数秒で書き換えが終わる。FOCBOX unityのようにUSB(unityの USBはタイプC)がひとつだけなら一回のファームウェア書き換えで終わる。

↑ FW5.3から5.2へ書き換えが終わったので、再びiOS版VESC toolでコネクト。するとこのような警告文が出てくる。「お前のファームウェアは古い」という警告。これは今後無視してOKをタップ。次の安定版が出るまで放置しよう。当面はFW5.2を維持する。
↑ はい、5.2です。ここでUPLOADをタップすると5.3になってしまうので気をつけよう。(2022.5現在)
↑ いやー前置きが長かった!ここからモーターキャリブレーションを始めよう!画面上のSTARTから赤枠で囲んだSetup Motorsをタップ。
↑ 私どもは電動スケボーなのでE-skateをタップしてNEXT。

↑ モーターはミディアムアウトランナー。これをタップして右下のNEXTをタップ。

↑ ボードのバッテリーについて聞かれる。GTX改のバッテリータイプはLILON 3_0__4_2。つまり通常の3.0〜4.2Vのリチウムイオン。セルシリーズは直列数。GTX改は10s5pなので10を入力。バッテリーキャパシティは、GTX改はサムスン50Eセル(5Ah)を5p(5並列)なので25Ahと入力。自分のバッテリーを分かっていないとダメな項目。入力したらNEXT。
↑ 今度はモーターについて聞かれる。ギヤ比とウィールの直径、モーターの磁石の数だ。モータープーリーはevolve純正の15、ドライブプーリーは3dプリンターによる自作34T、ウィールはトルクボード110mm、磁石は14。基本的に電動スケボーのアウトランナーモーターは14だ。ハブモーターやダイレクトドライブは違う時がある。これも入力したら右下のRUN DETECTIONをタップ。
↑ detect all motors over CAN Busはチェックを入れておく。VESCはモーターごとにIDが割り振られる。マスターIDのVESCからCAN Busを通じてもうひとつのモーターと同期する。このチェックを入れることでマスターIDのモーターだけでなく、その他のモーターも一緒にまとめてキャリブレーションしますよ?ということである。チェックを入れたらOKをタップ。
↑ こんな画面のままキャリブレーションが始まる。これは全自動でモーターをスキャンしてくれる。ウィールが回ったりするのでボードは台の上に置くなりしてドライブ側のウィールを浮かせておこう。FOCBOX unityの公式では手動でウィールを回したりして意外と面倒だったが、VESC toolはその手間がない。待っているだけでOK。
↑ 無事にスキャンが終わったというリザルト。マスターIDは27、CAN Busを通じてのもう片方(いわゆるスレーブ側)のIDは12となった。数字自体にとくに意味はなく、ただの識別番号が割り当てられただけだ。
↑ いよいよモーターキャリブレーション最後の仕上げだ。モーターの回転方向を確認する。とりあえずふたつ(上の画像ではID:27とID:12)のFWDをそれぞれタップしてみよう。ウィールが少しだけ回るはずだ。進行方向に正しく回るなら問題なし。逆回転したらInverted(反転するの意)にチェックを入れて、ふたたびFWDをタップ。正回転になったらOK。2輪とも回転方向を確認したらFINISHをタップしてモーターキャリブレーションは完了だ。
↑ 次はリモコンの設定だ。PPMリモコンならこの設定が必要になるが、GTX改はUART接続のリモコンなのでこの設定は不要。よって省略する。すまぬ!

PPMリモコンを設定するときは必ずリモコンを最速モードにしておこう。そうしないと正常な設定にならない。次はいよいよ4大設定だ。

↑ Multi Settingをタップ。
↑ 画面上部のLIMITを選択すれば、いつもの(?)の4大設定が出てくる。ボード(モーターやバッテリー)の性能と自分の好みと相談して数値を入れる。バッテリー関連のふたつの設定についてはデュアルモーターなら半分の数値になることを忘れずに!ひとつのバッテリーから40Aを出力するなら、デュアルモーターの場合は20Aと入力し、回生電流(リジェネ)もセルの最大充電電流×並列数×1.5。ここからさらに半分だ。

1.5という数値は、電動スケボーにおいてはつねにフルブレーキで長時間にわたって最大電流が回生される事態は稀なので、瞬間的に充電電流が許容値を越えても問題ないとする猶予である。「そんなもの信じねえよ!」というならば1.5倍にしなくても問題ない。

数値を慎重に決めて入力したら、左下の「WRITE LIMLTES TO ALL VESC」をタップして書き込みだ。

VESCの4大設定とは?

↑ 「そもそも4大設定ってなによ?」という人は上の大きい文字をタップしてください。リンク先に長い説明があります。この4大設定を理解できないとVESCを使う資格は無いというくらい大事な設定。

過去、VESC搭載のコンプリート電動スケボーはいくつか存在した(している)が、どのメーカーも4大設定をユーザーに弄らせたがらない。詳しくないユーザーが変な数値を入れて壊すリスクがあるからだ。メーカーによっては数値をいじった時点で保証が無効になることも??

・・・ということで、私も一切の責任は負いませんので悪しからず。よく理解したうえで自己責任で使ってください。

↑ ちなみにランピングタイム設定はAPP CFGからPPMの先にある。
↑ リアルタイムデータも見れるよ!バッテリー92%充電における理論走行距離は108km!?実際は70km程度。走り始めると数値が変わり、実測値に近づく仕組み。はじめはあくまでも理論値ってことで、キャリブレーションのときに数字をしっかり入力することでこんなパラメータも見れるのがVESC toolの面白いところ。画面下にはトリップメーターもある。

最後にVESC tool注意点としてはmetrアプリと同時の通信は出来ず、どちらかを使う場合は片方の接続をカットする必要がある。VESC toolを使うならmetrアプリとの接続を切り、反対にmetrアプリを使うならVESC toolの接続を切ることだ。これは意外と大事で、そもそも接続できないとかREADをタップしても変な数値が出てくる場合は大抵はこれが原因だ。最悪は Battery current MAXを99とか間違えて書き込んだら目も当てられない。扱いには充分気をつけよう。

今回の投稿に関してもう一度言うが、「私は一切の責任を負いません」

以上!人によっては便利、人によってはワケがわからないであろう今回の投稿でした!