DCプラグについて考える

電動スケボーにおいては5.5mm x 2.1mmのDCプラグを用いて充電するのが主流となっている。しかしながらこれはせいぜい4Aまでというのが通例で、5A以上になると別規格のプラグに変わることが多い。例えばGX16やアンダーソンプラグ、XT60などのより高い電流に対応した規格のプラグだ。

↑ 5.1mm x 2.1mmのDCプラグ。電動スケボーでなくとも誰しもが見たことあるであろう定番のプラグ。5.1mmとは銀の部分の外径であり、2.1mmとは真ん中の穴の内径である。

5.5mm x 2.1mmプラグのメリットは汎用性とコストだ。自作においても安く手軽に組み込める。デメリットは上記の通りで対応電流の低さだ。

先日、Bamboo GT改の知人より「ボードのバッテリーから充電ジャックを介して電気を取り出せる」という話を聞いて「おお!?」と唸った。いままで充電ジャックというのは充電だけに使う物だと思い込んでいたからだ。

↑ よくよく考えると、上記のBMSのようにチャージとロードが共通のBMSというのも多い。コモンポートなどと呼ばれている。(ちなみに上のBMS配線画像はバッテリーのプラスマイナスの向きが逆となっている誤表記である。)

基本としてBMSにはP-、C-、B-という3つのポートがある。

P-をロード(出力側のマイナス、例えばESCのマイナス)に繋ぎ、C-はチャージ(充電ジャックのマイナス)に繋ぎ、B-はバッテリーのマイナスに繋ぐ。

コモンポートとは、P-とC-のポートが共通のBMSである。つまりどういうことか?充電ジャックから出力(放電)することも可能ということである。なるほど!

ちなみにコモンポートでなくとも可能ではあるらしいが、コモンポートのほうが安心感はある。

これを利用すれば手軽にボードのDCジャックから電気を取り出せる。しかし下記のデメリットもある。

①大電流は取り出せない。せいぜい4A × バッテリーの電圧。例えば10sバッテリーなら定格36Vとして約144Wである。スマホの充電なら充分すぎるが・・・

②取り出した電圧がそもそも汎用性がない電動スケボー独自の電圧である。DC12V、DC5V、AC100Vなどの汎用性のある電圧に変換しなければイマイチ使い道がない。これはDCDCコンバータやDCACインバーターなどで解決できる。

③ジャックとプラグの接続時に火花が出やすいらしい(知人談)

②は良いとして、①と③は解決法がある。5.1mm x 2.1mm DCプラグを止めてXT90などに充電プラグを変えてしまうという方法だ。XT90はアンチスパーク機能付きのものがあり、また対応電流も90Aである。

↑ 14sコモンポート式BMS。充電70A、放電70Aの強烈なタイプ。充電70Aはやらないとして、放電70Aを充電ジャックから取り出せれば 14s定格50.4V × 70A =おおよそ3500Wを取り出せる。DCACインバーターで AC100Vに変換すれば電子レンジも余裕っすよ!もちろんバッテリーの出力によるが。

↑ AliExpressで売っている充電器のオプション画面。プラグをユーザーの任意で選択できる。画像は7Aというかなり強力な急速充電器のプラグ選択画面だが、7Aなので5.1mm x 2.1mmDCプラグの選択肢は無いのだ。XT60を選択し、自作のXT90に変換するアダプターをつければOK!

上記の内容はBioboardsプルトニウムに実装する予定だ。強烈な走りに加えて、いざとなれば非常用電源やらアウトドア用電源にもなるボード。充電ジャックと電源接続ポートはXT90で共用化する。

電源にもなる電動スケボー構想はマルチボルトバッテリーの電動スケボー同様、長年ダラダラと考えつつも実現出来ていなかったプランである。