14s時代到来?

まずはじめに、◯sとはバッテリーの直列数を表す。10sなら10直列。リチウムイオンセルの定格3.6Vなら10直列で36V定格。

リチウムイオンセルひとつ(並列グループあたり)満充電は4.2V。10直列のバッテリーなら42Vが満充電である。

こちらに細かい解説アリ。

電動スケボー黎明期から現在に至るまで、電動スケボーのバッテリーは市販のボードでは10sバッテリーが主流であり、ごく一部の市販品ボードやDIYにおいては12sもある。

直列数が増え、電圧が高いことによるメリットは10sと12sでは同じワット数を出力するにあたり、12sのほうが電流が少なくて済む。

定格3.6V ×10 = 36V

定格3.6V × 12 = 43.2V

432Wを出力するならば

36V × 12A = 432W

43.2V × 10A = 432W

電流が少なければ発熱も少ない。

また、電圧が高いと最高速が伸びる。モーターの性能を表す指標のひとつにKVというものがあり、

KV × 電圧 = rpm(1分間の回転数)だからだ。

基本的に電圧が高いほうがメリットがある。しかし電動スケボーにおいては10sでなんら問題なく今日までやってきた。ごく一部のハイスペック信仰者はDIYで12sバッテリーを使って走らせてきた。しかし長らく12sが限界値として設定されており、例外中の例外として13sを使う猛者もいた。

なぜ12sが限界値であったか?VESCで使われていたモーター制御チップの許容電圧が8〜60V。この60Vというのは電圧スパイクを含めての60V。12sにおける満充電50.4Vが電圧スパイク含めて安全に使える上限値ですよ、ということである。13sなら満充電54.6V。まだ制御チップの許容範囲内ではあるものの、電圧スパイクで一瞬でも電圧が60Vを超えればアウト。13sはリスクがある。

13sで運用しても問題を起こさない人もいれば、ESCを壊す人もいた。12sがESCの保護と、人間がボードを操るうえでの適切な電圧ということで長らく12sがDIYにおける主流だった。

・・・長い前置き終わり。

で、表題の14sである。私がもっとも望む電圧。Stormcore ESCの登場により18sまで使えることがまもなく現実となる。いよいよ12sの呪縛(?)から解き放たれる。

なぜ14sなのか?

DIY電動スケボーのバッテリーエンクロージャー(バッテリーを入れるケース)を製作、販売しているeboostedも14s用のエンクロージャーを設計し始めている。Stormcore ESCの登場とともに14sがにわかにDIY愛好家たちから意識され始めている。

デッキも長らく40インチがひとつの上限という雰囲気が今まであったが、これも打破されて42インチ、44インチのデッキが人気が出てくる流れになるだろう。長いデッキほどより多くのバッテリーを積める。12sから14sなら2〜3インチアップでちょうどいい。

12sから14sのステップアップならギヤ比やモーターKVにおける大きすぎる変化がない。12sから18sへの移行だとモーターKVやギヤ比の変化が大きすぎるので再構築を求められる。つまり14sのほうが移行が楽で無理がない。

10sと比較すれば14sはワット数出力において大幅な電流の削減が可能となる。ケーブル類をワンランク細くすることが可能になるだろう。

最後に私事になるが、やはりDCACインバーターの活用に適しているのが14sである。DCACインバーターとは、直流電源(電動スケボーのバッテリー)から交流(家庭用AC100V)へ変換するための機器。キャンピングカーやヨット等ではDC12VのサブバッテリーからAC100Vに変換して車内や船内で家電を使えるようにしている。

セルの下限電圧3.0V × 14s = 42V

セルの上限電圧4.2V × 14s = 58.8V

この42V〜58.8Vという入力電圧範囲が48V定格のインバーターと見事にマッチしている。定格48Vインバーターは入力42Vが低電圧アラーム、入力60Vが過電圧停止の設定電圧というのが大半である。

12sでも運用出来なくもないが、

低電圧アラーム42V ÷ 12s = 3.5V

12sだと1セル(1並列)あたり3.5Vという「まだイケるよ」という電圧でインバーターが止まってしまう。

・・・ということで家電への応用や電動スケボーとしての性能面や構築において、14sはけっこう理想的な電圧なのではないか?と私は思っている。