いつもと違う視点から考察する。体重と体型が及ぼす電動スケボーへの影響について。
基本的に軽いに限ると。
身もふたもなく軽いが正義。クルマやバイクなどでパワーウエイトレシオという指標があり、運動性能に直結するのでそれを重要視するのだが、電動スケボーはライダーの体重がモノをいう。
たとえば10kgのボードがあったとして、50kgの人が乗れば総重量60kg、80kgの人が乗れば総重量90kg。同じボードでもじつに1.5倍の差がつく。クルマやバイクよりもはるかに体重の影響が大きい。当たり前の事なのだがこれがものすごく走りに影響する。
軽いとまず加速や減速も有利。そしてウォブルも出にくい。坂も軽快に上る。
体重が軽いとハッキリ言って良いことばかり。電費も基本的に良くなるのだがこれには少しばかり条件がつく。電費は速度があまり出ていないとき、加速や減速を多用しているときに軽さの影響が大きい。
スピードを出してひたすら走ると体重の影響は出にくくなるいっぽうで、空気抵抗のほうが電費への影響の比重が大きくなる。
今回の投稿に至った経緯としては私の体重が落ちたからである。ちょっとダイエットした。これについては具体的な体重の変化を測っていない残念な部分もあるのだが、参考としてベルトの穴4つ分ほど痩せた。
そしてその間にボードには一切乗っていなかった。
少しボードに乗らない期間を設けた。趣味を続ける上でこういう期間も大事だと思う。
そして久々に乗ったらメチャメチャ軽快に走れたのである。明らかに違う。いつもより強気でスロットルを入れられる。減量前は最高速付近でのウォブルの兆候があったが、今回はまったくない。超安定。カービングも高い速度域で軽快だ。カービングができる限界速度が上がった感じで不安がない。
減量は電動スケボーにおいてはお手軽(？)に出来るチューンである。良い影響しかない。しかも別のボードでも効く。スピードを出すのが怖いという人はひょっとして体重が重いだけかもしれない。減量するだけで物理的には安定しやすいのだから。
そして体型による影響も出る。
「体重はまだしも、少し痩せたところで体型なんて前面投影面積がチョロっと変わるだけだろ」と思われるかもしれない。
数ある前面投影面積の解説からこのリンク先を選ばせてもらった。わかりやすいし、フォームによる影響に言及しているからだ。
クルマはボディ形状で前面投影面積が変わる。ロードバイクはドロップハンドルの下を握ることで前面投影面積を減らして空気抵抗を減らすことができる。モトGPのようなレーシングバイクでは頭を伏せ、脇を閉めて肘を引っ込める形で前面投影面積を減らすが空力的にはカウリングの効果がとくに高い。
電動スケボーではどうするか？スピードタックを使う。スピードタックについては「省エネ走行について考えてみる」を参照。
体型とスピードタック、なにが影響するのか？単純に腹のぜい肉が減ってスピードタックをしやすくなるという話。腹のぜい肉が少なければスピードタックの要点である「上半身をまっすぐ水平にまで前屈させる」というポーズを取りやすい。上半身を水平くらいまで前屈させることで前面投影面積を大幅にカットしつつも、空気の流れをスムーズにして空気抵抗を極限まで減らす。両手は後ろにまわし、腰の辺りで手を組む。これにより空気の流れをさらにスムーズにする。前面投影面積だけでなく空気が流れやすいこの姿勢(身体の形状)というのが重要。
スピードタックで己自身をエアロ形状と化す。これもまた電動スケボーの面白さだ。電費と速度の両立においてスピードタックはメチャメチャ効く。
↑ 完璧なスピードタックの姿勢。胸と片膝がつくほど前傾するのがポイント。太っているとこれが難しい。手を組むのは腰であり体全体の最後端というのもポイント。電動スケボーの場合、リモコンを持っているのでもう少し背中寄りになりがち。
・・そこにさらに減量効果上乗せだ。スピードタックは慣れないと怖い。スピードが出ている時に頭を思いっきり前に出すので恐怖感がすごい。しかし減量しているとポーズが楽に取れるうえに、先ほどのウォブルが出にくい減量効果で太っている時よりはるかに安定してやりやすい。
10kg程度の重量物を持ちながら(背負いながら)電動スケボーに乗ると、いつもと感覚が違うことがよく分かる。けっこうグラグラする。体重の増加に比例してブッシュを硬くするのもそのためだ。つまりボード(のセッティング)が同じなら体重が軽いほど安定する傾向が強い。これがスピードタックの姿勢の維持と安定化にものすごく影響する。
今回、個人的に一番減量のメリットとして大きかったのが、このスピードタックのやりやすさである。
長々と書いたが、電動スケボーにおいては体重が軽いほうが圧倒的に有利。もし今回の投稿を読んでくださり、思うところがあるならば減量も良いかもしれません。あとスピードタック習得はオススメです。できればキレイな路面でやりましょう。ボコボコしている路面でやるのはバランスを崩しやすく自殺行為です。
なお、当方スピードタックによる事故、怪我等の責任は負えませんのであくまで自己責任で・・・