↑ Slick revolutionより。電動スケボーを知る人ほど、この結論にたどり着くだろう。
「ハブモーターは未来ではない」
すこし前、まだ電動スケボーの認知度が低い頃は、パッと見が電動に見えないハブモーターに未来を感じた。しかし電動スケボーの認知度が上がり、ユーザーが増え、走りの質を求める昨今、ハブモーターの勢力は目に見えて衰えはじめた。
ハブモーターは欠点がある。
①モーターにかぶさったウレタンウィールのために放熱性が悪い。ゆえに高出力に耐えられない。
②そのメーカーの専用アウトウィールになる。他社製のウィール交換などの応用が効かない。
③ ②ゆえに選択できるウィールサイズに限りがある。
④トルク特性はモーターのKV値のみに依存する。ギヤ比の変更などができない。
⑤薄いウレタンで乗り心地が悪い。
上記がデメリットなのだが、走りに関わる面が多い。乗り心地の悪さ、放熱性の悪さは致命的だ。アウトウィール(モーターにかぶせるウレタンウィール )がそのメーカーの物に制限されるのもキツイ。ラプター2.1を販売していたenertionはモーター熱でウィールがボロボロと崩れたために信頼を失い、会社はほぼ倒産。今後はスペアのウィールも買えないという状態だ。
ハブモーターならではのメリットもある
①基本的にFOCで音が静か。
②パッと見でモーターが分かりにくいので見た目が良い。
③メンテナンスの必要があまりない。
④コストが安く導入が楽。
メリットを見ると走りそのものにはあまり関係がない項目が多い。ダイレクトドライブも音は静かだし、ベルトも構成部品次第で音は静かになる。ギヤドライブはヘリカル(斜歯歯車)やヘリンボーン(山歯歯車)などで音の対策がされるだろう。そもそも音がそこまで静かである必要もないと考える人もいる。あとは気軽さ、見た目くらいだ。
中華ボードも徐々にベルトに回帰し始めている。Ownboardをはじめ、Wowgo、Exwayなどは元はハブモーターボードのみを販売していたメーカーだ。
2018年はハブモーター隆盛の時代、2019年で他のドライブの評価が上がり、ハブモーターの評価が落ちた。2020年では欧米豪のメーカーはハブモーターにはほとんど見向きもしていない状態だ。Inboardやenertionはハブモーターで滅び、boostedやEvolveはベルトドライブで生き残った。
それでもハブモーターは無くなりはしないだろう。低価格で初心者にも扱いやすい程よいパワーで導入モデルとして悪くはない。パワーをそこまで求めなければ発熱も気にならない。乗り心地を良くするアウトウィールも少しずつ開発されていくだろう。
ハブモーターボードを買うなら
①とにかく低予算で購入したい
②舗装が綺麗なアスファルトで走れる環境が近所にある
③ウィールを変えたりする気がない人。改造やカスタムに興味が無い人。このボードは弄る気もなく今後も同じ構成で問題がないと考える人。
④③に付随して複数台持ちのうちのひとつ等。
⑤過剰なパワー、スピードを求めない人。
こういう人には良いと思う。
旅行がてら、いろんなところを走りたいという人には向かない。さまざまな路面への適応性が低いからだ。(ただしATのハブモーターは除く。)
パワー、スピード派にも向かないが、彼らはすでにベルトやギヤドライブを使っていることだろう。
2020年1月現在、ハブモーターボードは「5万円以下で初めて買うんだ」という人には良いと思う。そこから始めてとりあえずいじることなくドノーマルの吊るしで乗る。乗らないことには自分の方向性が定まらない。
「もっとパワーが欲しい」
「乗り心地を良くしたい」
「沢山の距離を走りたい」
「砂利道も走りたい」
乗っているうちにこんな感じで目指す方向が見えてくる。場合によっては「自分には電動スケボーは向いていませんでした」という結論に至る可能性すらある。
いずれにせよ、結論が出たら次に進めば良い。そのとき吊るしで乗っていたハブモーターボードは売却すればいい。元が低価格ゆえに売値もそんなに落ちない。そこそこの値段で売れるだろう。もちろんセカンドボードとして手元に残しても良い。
私の考えとしては、初めて買う人の導入モデル、セカンドボードというのが今現在のハブモーターボードの立ち位置だと思っている。人によるが、乗りまくればどこかでハブモーターの限界が見えてくると思う。私はそうだった。乗る場所を選ぶし、カスタムをする上でこれほど厄介なドライブもない。ハブモーターはカスタムをしないことが大前提のドライブだ・・・というよりカスタムのしようがない。改造するならドライブを丸ごと入れ替えるという身も蓋もないところから始まる。
ハブモーターボードは吊るしで乗り、飽きるなりステップアップするなら吊るしのまま売却、譲渡というのがおそらく一番良い運用法だろう。ハブモーターはしばらくはそういう立ち位置に収まると思っている。
今でも綺麗な路面で低価格なホビーウイングESCのハブモーターボードに乗ると、「コスパは最高だよな〜」と思う。