持ち運びできるポータブルバッテリー。しかし市販のものは高出力に弱いことがわかった。そこで高出力なポータブルバッテリーを自作するなら何が必要でどれくらいのコストが掛かるか、大雑把に試算してみた。
↑ 35E。公称3500mAh。これで13s12pを組むとしよう。
£2.06(たくさん買うと少し安い)として
£2.06 × 156個(13s12p) × 1£133円(2019,8/1のレート) =42741円(送料含まず)。
ざっくり43000円としよう。
スペックは3.5Ah × 公称3.6V × 156個 =
1965Wh。セル156個で重さ約7.8kg。
1セルあたり8Aを出力できるので、8A × 12並列で96Aが最大出力アンペア。充分すぎる出力だ。35Eは1セルあたりは高出力ではないが、弱い出力を12並列で補う。値段も安く、こういう用途に向いているセルだろう。
13s12pの寸法は2cm × 2cm × 7cmで1セルとして計算すると・・・
6cm × 14cm × 52cm =4.4リットル相当。
12cm × 14cm × 26cm
7cm × 26cm × 24cm
こんな組み方でも可。
↑ 熱収縮チューブも特殊なサイズだ。高さ7cm、幅24cmのバッテリーパックに通すなら310mmサイズ。少し余裕を見れば330mmまたは355mmサイズがベターだろう。画像のサイズ表記、330 × 210というのは、ペッタンコの状態の幅が330mm、チューブを広げた時の円の直径が210mmという意味。ペッタンコ幅330mmのチューブを広げた時の円周は倍の660mm。直径210mm × 3.14 = 円周659.4mm。ほぼ計算通りということ。AliExpressで買える。
↑ 正弦波インバーターはこれをチョイスしてみた。連続2000W、サージ4000W。61Vから40Vという入力電圧範囲はリチウムイオンの13直列と相性が良い。満充電で54.6V。
低電圧アラーム42V ÷ 13直列 =
1セルあたり3.23V。
低電圧シャットダウン40V ÷ 13直列 =
1セルあたり3.07V。
アラームが鳴ったら仕様を停止すると良い感じだ。
12V仕様より48V仕様のほうが無負荷での消費電流も少ない。
これが入力DC48V、出力AC100Vのモデルで20496円。サイズは365mm × 165mm × 85mm。5.2リットル相当。これもAliExpress。
↑ セルホルダー。400ピースでざっくり3200円。1セルで上下2個使用。156セルで312個必要。またまたAliExpress。
↑ ニッケルストリップ。厚さ0.15A。セルホルダーとの相性を考慮して幅8mmが良いだろう。1kg。速配だと少しコストが上がる。とりあえず5000円としよう。もちろんAliExpressで買う。
↑ BMSは良いものを使う。充電、放電ともに120A。バランス電流は126mA。$95なので11000円くらい。送料は入ってない。Li Techで買う。
↑ 充電器はこれにしてみよう。使用率高めのAliExpressでの販売。調整式で下は2Aから最大12Aまで充電電流を調整できる。13855円。205mm × 150mm × 70mm。2.2リットル相当。ざっくり14000円。
↑ DCDCコンバータ。これはバッテリーとシガーソケットの間に配線する。10A120W。入力電圧も24V〜60Vと13sと相性が良い。ざっくり2600円。Amazon.jp。
↑ キャップ付きシガーソケット。これは10Aのヒューズが入っているので120W。ヒューズを入れ替えればもう少しワット数を上げられる。Amazon.jp。
↑ DC8V〜60V入力からUSBの5V3A出力。これでスマホを充電できる。1500円くらい。eBayで売っている。
↑ XT90コネクタ。バッテリーとインバーターを繋ぐときに使う。
↑ 8AWG。赤と黒のペアで1mあたり997円。75Aまで使える。50V × 75A = 3750 W。充分だろう。当然AliExpress。
↑ バッテリー、インバーター、充電器を並べてみた。長さ45cm、幅28cm、高さ20cmくらいに収まる計算だ。
↑ このケースなら余裕で入るだろう。頑丈だ。充電ポートやAC100V、 USB、シガーソケット、これらを出しやすいところに穴を開けよう。
まだ足りないものがあるかもしれないが、ざっと計算してみる。
・Samsung 35E 156個 43000円
・熱収縮チューブ 590円
・2000Wインバーター 20500円
・セルホルダー 3200円
・0.15mm厚 10mm幅のニッケル 5000円
・13s、100A出力のBMS 11000円
・13sの急速充電器 14000円
・120Wシガーソケット用コンバータ 2600円
・シガーソケット 1000円
・5V3A USB 1500円
・XT90コネクタ 5ペア 1100円
・8AWGシリコンコード 1100円
・ケース 5000円
総計109,590円
送料が入っていないものがあったり、充電器のグレードがかなり高かったりするが、大まかなイメージは掴めたと思う。
1965Wh、96A(ケーブルの関係で75A)、2000W。
電子レンジ、電気ケトル、ドライヤーは余裕だ。これらの消費電力が1500Wとして、1500W ÷ 50V = 30A。変換効率を加味しても全然余裕。それにこれらは長時間使うものではない。
1300Wのホットプレート。これは時間を使うので少し厳しい。使えないことはないが早食いで済ますことになる。IHで700Wなどに調整すれば使用時間も伸びる。
AC100V、シガーソケット120W、 USB×2。これらも付くので市販のものと同じように使えるだろう。
12Aで充電すればおそらく6〜7時間程度で満充電になるだろう。
パソコンの自作があるように、バッテリーの自作があっても良いのではないか?市販のポータブルバッテリーよりも強力なものが作れるのだ。想定の上では(笑)