今の時代、さまざまな製品にリチウムイオンバッテリーが採用されている。しかしバッテリーセルの品質に疑問を持っている人はほとんどいないだろう。このバッテリーセル、この世のあらゆるところで偽物やら低品質なものが紛れ込んでいる。私も品質などそこまで気にすることはなく、使えれば何でも良いと思っていた。さすがに使えない物を売ってるわけではないだろう・・・と。
この趣味をやっていると「そりゃないでしょう」というような事にしばしば直面してきた。例えばプレオーダーやら日本の販売サイトなど嘘に溢れている。一般のユーザーをいかに騙そうかという内容に溢れている。
そして受け取り方は人による。人によっては騙されたとすら思っていないケースもあるだろう。プレオーダーから購入手続きをし、遅延しまくっても最終的に商品が来ればOK。日本のサイトでゴミみたいな製品を買ってもとりあえず動くからOK。
売り手も騙してはいませんよ、と言うだろう。しかし買い手にストレスや失望を与えてはいるだろう。
この、中身はともかく受け取り方次第ではウソではありません、騙してはいません、という部分を凝縮したかのようなジャンルがバッテリーである。これはあらゆるところに騙しや嘘が潜んでいる。しかもそれに気づきにくい。それを指摘したところで「別に使えないわけじゃないからいいよ」で済むことがほとんど。
海外の完成品電動スケボーに関してはかなりバッテリーに対してクリーンだと思う。しっかり使用セルを公表しているしそれを使っている。値段も適正だ。電動スケボーユーザーはとにかくセルにはうるさい。私もセルにはそれなりに拘る。問題は、家電、セルの購入など完成品の電動スケボー以外におけるバッテリー関連だろう。まず家電について。
ダイソンや電動工具など純正バッテリーと呼ばれるものに対し、格安の互換バッテリーというものがある。純正と比べると、これがめちゃくちゃ安い。
マキタのBL1860Bという工具用のバッテリー、上が純正、下が互換バッテリー。純正はひとつで12450円、互換バッテリーはふたつで5999円。はああ???単価にして4倍以上の差だ。誰がどうみても裏がある。
カラクリは簡単で互換バッテリーはスペックを満たしていない・・・とのこと。私が直接分解して調べたわけではないが、他のサイトにてそういう記事があった。容量詐称、放電レートおよび充電レート無視、これがまかり通っている。上記の純正と互換バッテリーもおそらくそういうことだろう。マキタのバッテリー分解に関してはネットで検索するといくらでも情報が出てくる。純正はソニーのセルを使っているようだ。
スペックを満たしていないと何か問題あるの??
これが難しい。これだけ安いと多少スペックが落ちようがそんなに文句は無いと言いたい部分もある。私もダイソンの互換バッテリーを使っているがいちおう使えている。しかし、やはり互換バッテリーゆえの怪しい部分があり、まずバッテリーの発熱が大きい。プラスチックのバッテリーケースを伝わって手元で感じるくらいなので相当な熱だろう。そしてターボモードを使うと電源が落ちる。明らかに低品質だが安いからと納得しているところがある。
問題あるか?と言われれば問題アリだ。いつか事故が起こる可能性を否定できない。純正よりはるかにリスクは高いだろう。
今のところHiKOKIのマルチボルトは互換バッテリーを見かけない。構造が少し特殊だからというのもあるが、36V使用時にごまかしが効かない。マルチボルトは放電レートの高い良いセルを使わないと成り立たないのだ。安物のセルではマルチボルトは成立しない。(マルチボルトはSamsung 25Sを使っている)
話を電動スケボーに戻す。電動スケボーはその性能を発揮するために各社セルにはそれなりに拘るし、自作ユーザーも同じく拘る。Jed boardは遅延しまくっているがバッテリーセルにこだわりを持つメーカーのひとつだろう。Jed boardはソニームラタのセルを使っているが、これは同一容量の18650の中でズバ抜けて放電レートが高いセルだからである。ソニームラタVTC5Aは2500mAhで30A放電を実現できる18650唯一と言って良い高品質セルだ。(長時間の30A放電はさすがに厳しいが)
Jed boardが標榜する性能はこのセルがあってこそ。他のセルではJed boardが公表している性能は出せない。
※近年ではVTC5Aを凌ぐ良いセルが他にも出てきた。
↑ ソニームラタVTC5A(赤線)とサムスン25R(青線)との30A放電での比較。25Rは一気に電圧が落ちるが、VTC5Aはかなり持ちこたえる。18650で1pおよび2pで軽さと性能を両立させるボードを組むならVTC5Aは良い選択だ。25Rも2年前ではメインを張っていたセルだ、3p、4pと並列を増やせば悪いセルではない。
HiKOKIのマルチボルトもスペックを鵜呑みにするならば、おそらくVTC5Aと同等クラスのセルを使っていると予想している。(後日検証した結果、Samsung 25Sというさらに良いセルを使っていたことがわかった。)
さっそく購入してみたのでこれは後日分解して確かめてみたい。マルチボルトには色んな使い方を期待している。ここは電動スケボー関連のサイトという事になっているが、マルチボルトにスポットを当てた投稿が今後は増えると思う。
バッテリーセルの購入に関しても、本物のセルを購入することすら難しい。ニセモノが存在する。アリババ、アリエクスプレスなどで買うとニセモノをつかまされることがある。やはりニセモノは放電レートや容量を満たしていない。これだと自分の中で思い描くスペックを実現できない。それどころか危険すらあり得る。
https://www.ecigssa.co.za/samsung-30q-spot-the-fake.t56565/
↑ サムスン30Qはニセモノがある。外観からは被覆に書いてある字体が違う、ピンク色の被覆の色がニセモノは濃い、などの特徴がある。
家電のバッテリーやセルの購入には多少高い金を払ってでも純正なり信頼できるところから買うべきだろう。安物はやはり安物。高いものには高いなりの理由がある。
電動スケボーで言えばやはりスペックをそれなりに満たしたい。そのためには高品質なバッテリーセルは必須条件だ。ニセモノは許されない。本物なら可能な放電電流が、ニセモノだと耐えきれずに発熱、場合によっては発火もあり得る。これは電動工具や上で述べたダイソンのバッテリーにも言える。パワーを出すならメーカーの基準を満たした放電レートのセルであるべきだ。
今回の投稿は完成品の電動スケボーにはあまり関係のない話になってしまったが、自作には関連性のある話だと思う。製作予定のマルチボルトバッテリー使用電動スケボーは純正のマルチボルトバッテリーでないと成立しない。マキタの純正ではない胡散臭い激安互換バッテリーではかなり危険だ。そしてマルチボルトにはこんな製品もある。
↑モバイルバッテリーとして使えるUSBアダプターだ。ちなみにマキタにも同じような製品がある。
そしてマルチボルトの急速充電はかなり早い。90Wh仕様で約30分である。バッテリー交換式電動スケボーに辛辣な態度を見せる私だが、このように汎用性があればかなりメリットが出てくると思っている。特定の電動スケボーにしか使えない専用のバッテリーではあまりにつまらない。
まずはマルチボルトが高品質なセルを使っているかどうか?これを確かめてみたい。マキタの純正バッテリーはソニーセルだ。マルチボルトも30分の急速充電に対応しているくらいなのでまず間違いのない製品だと思うが・・・