ENDEAVOR Pro 納品&ファーストインプレッション

7/27にオーダーして以降、発送メールも来ず「いつになったら来るのやら。8月中旬予定のはずなんだけど。」などと思っていた頃、成田の税関から電話がかかってきた。

税関「成田空港税関の※※です。◯◯さん宛に中国からエレクトリックスケートボードという物が来たのですが、これは一体どのような物でしょうか?」

私「あー、いわゆるスケボーですね」

税関「電動の?」

私「はいそうです。」

そんなやり取りの翌日に私の元に届いた。結局、配送連絡メールは無し。届いたので無問題。

(注:納品してから2日後くらいに発送メールが来た。タイムラグ??)

まずはじめに、重くて掴むところがなく持ち運びづらいボードだと感じた。エレベーターのない賃貸住宅の2階以上にお住まいの方だと運搬がけっこう大変だと思う。非力すぎる人だと階段での運搬は不可能かもしれない・・・そんな重さだ。

もし階段で持ち運ぶならボードを利き腕の脇に抱えて斜めに持つのがベターだと思う。平地なら後輪を地面につけて前輪側を手につかんで転がすように運べばいい。階段ではとにかくボードを持って安定して立つまでが大変だ。

↑ 電源ボタンはリヤトラック、ベースプレート(?)のところにある。これは途中のロットからそういう仕様になったようだ。海外のYouTuber達が公開している製品はエンクロージャー下側にボタンがある。(下の画像参照)
↑ 初期ロットは赤い矢印の部分に電源ボタンがあった。現行ロットでは画像のとおりフタがしてある。なお黄色い矢印は充電ジャックのフタを開ける方法を示している。黄色い矢印方向にクルッと回してズラす方式だ。キャップと勘違いして手前に引こうとするとフタが壊れるので注意。充電器は5A。コンセントは3P仕様なので3P→2P変換アダプターが必要になる。家電屋やホームセンター等で売っている。

(注:後日、充電器が壊れたので対策した。)

↑ サスペンションの調整は付属の6角レンチをダイヤル側面に挿してダイヤル自体をグルグル回す。穴は数箇所あり、少し回したら6角レンチを別の穴に挿し替えてまた少し回す・・・を繰り返す。締めれば硬くなり、緩めれば柔らかくなる。好みで。指で回せなくもないがかなり硬いので6角レンチを素直に使おう。
↑ スケボーでいうところのキングピンを締める事に該当する調整はこの画像の通り。トラック下にネジが左右2箇所、それが前後で合計4箇所。これを付属の6角レンチと13mmスパナを使って締めたり緩めたりする。スパナは根本のナットを押さえたり締めたり緩めたりするのに使う。これにより中にあるV字型のブッシュが押されて硬めになり、緩めれば伸びて柔らかくなる。言い換えるとネジが手前に突き出すほど柔らかくなり、奥に引っ込むほど硬くなる。これでコーナリングのフィーリングを変える。

このサスペンションシステムのよく出来ているところは、デッキを傾けてもサスペンションが伸びたり縮んだりすることがないこと。あくまでコーナリングの硬め柔らかめのフィーリングはブッシュが担い、衝撃吸収はサスペンションが担う。役割がしっかり分かれているのだ。車やバイクにおけるブレーキで前が沈み、アクセルオンで後ろが沈む現象、いわゆるピッチングモーションはこのENDEAVOR Pro(および S)では起こらない。

購入後、しばらくは6角レンチと13mmスパナを携行して走りつつもたびたび止まってブッシュやサスペンションを調整することになると思う。

↑ ベルトは405mm、HTD5M、幅15mmだ。アリエクで買える汎用的なベルト。いちおう予備が2つ、標準で付属する。
↑ 前回の投稿の通りでリモコンはFlipsky VX2のプロペル仕様。電源を入れたときにプロペルのロゴが表示される。
↑ ボードとリモコンのバッテリー残量、スピード、オドメーター、出力アンペアが表示されるVX2リモコン。かなり便利。デフォルトではマイル表示だが、リモコン設定でkm/hに変更できる。バッテリーの直列数(12s)、タイヤ径(200mm)やモーター極対数(7)、プーリー歯数(72:14)などはあらかじめ設定済。こちらで変更するのはマイル表示からキロ表示に変更することだけだ。ヘタに設定数値を弄るとスピード表示が正確でなくなったり、バッテリー残量がおかしくなるので変えるのはマイル→キロ表示のみ!

VX2リモコンはボタンひとつでH、M、Lの3段階でパワー感を調整できる。いわゆるモード変更だ。個人的にはMでも充分だと感じた(デフォルトのVESC設定)。なおVX2リモコンはPro専用であり、Sには違うリモコンが付属する。またVX2リモコンの仕様により、停止からさらにブレーキを掛け続けるとチョロチョロとゆっくり後退する。これは私の自作ボードであるGTX改と同じだ。(GTX改はVX2初期型リモコン使用)

↑ 暗い車内で撮った汚い画像で恐縮だが、エンクロージャー側面にリモコン通信用アンテナがある。カーボンデッキによる電波干渉対策と思われる。何らかのレバースイッチかな?などと勘違いして折らないように!

さて、細かい独自な解説もそこそこに、以下は走った感想を述べる。まずトルク感は充分、グイグイと走る。坂も余裕だ。ブレーキは要注意。急激に操作するとリヤタイヤがロックするほどに強烈に効く。人によっては慣れが必要かもしれない。これに関してはVESC(FSESC)を調整することで改善できる。

パワフルなのは72:14というギヤ比も関係しているだろう。けっこうなローギヤードだ。ドライブプーリー72Tというのも大きめだが、モータープーリー14Tは少し珍しい。だいたい15T、16Tというパターンが多いからだ。

タイヤは8インチ(200 × 50)。空気圧は40psiと記載されている。ちょいと柔らかめだ。そしてサスペンションの恩恵もあり、アスファルトが荒れてるだの多少の砂利道、ちょっとした段差などはお構いなしにガンガン走れる。ストリートウィールのボードとは比較にならない走破性と快適性。これは心強い。

違和感を感じたのは小回りだ。ブッシュをけっこう緩めたつもりでも意外とデッキが傾かない。ゆえに横Gに対して踏ん張れず曲がりにくい。小回りが思いの外効かない感じだ。低速域での横Gに対して傾きが浅くて体重を預けにくい。そしてデッキ幅も広すぎる感がある。私の靴のサイズは25.5cm。どうもデッキの端に体重を乗せきれない感じ。人にもよるかもしれないが個人的には重さと共に最大の弱点とも思えた。体重80kgあたり、靴のサイズが27.0cm以上の人のほうがこのデッキに合う気がする。体重が軽い人だととくに小回りは効かないわ、運ぶに重たいわで楽しさが少し減点されるかも?

私の個人的な感想としてトラックアングルがかなり立っているようにも見えた。もう少し寝かせることが出来るならば小回りも効くようになるだろうが、通常の電動のスケボーのようにウェッジライザーパッドで角度を変えるということがENDEAVOR Pro(およびS)は構造上不可能だ。

総括として、このプロペル・エンデバーProはジャンプなどの激しいアクションを伴わないという条件のもと、フラットダートおよびアスファルトをガンガン走るSUV的なボードだと感じた。路面を選ばないのはかなりのストロングポイント。

しかし従来のリバースキングピントラックやらダブルキングピントラックの電動スケボーとは走行フィーリングがかなり異なる。シャッ!シャッ!と切れ味するどいカービングというものは皆無。どうしても少しダルめのカービングになる。リバースキングピントラックからダブルキングピントラックに乗り換えたときよりさらにダルくて、なおかつ小回りが効かなくなったという感覚だ。

そのトレードオフとして悪路での快適性を手に入れた。他には重たい、少しブレーキを丁寧に操る必要がある、またはブレーキ(もしくはパワー)をこまかく微修正したいならVESCの知識が必要・・・などの留意点もあるので万人向けとは言い難いが、お住まいの周辺環境次第ではかなり上手くハマるケースも考えられる。ブレーキの効きも裏を返せば下り坂でも心強いというふうにも捉えることができる。

たとえ砂利道でなくともアスファルトの状況を問わず快適に走れるというだけでもけっこうなメリットだ。ストリート(ウィールの)ボードでは「ガタンっ!」と足に衝撃が伝わるような路面でも何もなかったかのように快適に通過できる。ストリートウィールのボードでは斜めから侵入していた段差もエンデバーProなら真正面から何も考えず、ビビることなく突っ込める。カービングとか小細工は不要。目の前の道に集中して路面状況を問わずに駆け抜ける。そんなイメージ。小回りはあまり効かないものの、そのぶん安定感がありウォブルの兆候などは感じなかった。全体的な味付けとしてかなり安定志向が強く、トップスピードでもかなり安定性があった。(ライダーの体重や技量にもよる)

今回のインプレを読んで「俺には合ってるかも」「俺は合わないかも」など皆さんに思うところがあったならば幸いです。