ミニボードについて

前回はExway Waveの価格やオプションについて書いた。

・・・で、さんざん書き散らしておいてアレだが改めて私なりのミニボードについて「嫌な」見解を述べる。

まず感じ方は人によって異なると述べておく。初めての電動スケボーがExway Waveならおそらく感動することだろう。凄い!軽い!速い!

やがて乗り慣れると「バッテリーがすぐに切れちゃう」「物足りない」となるだろう。

さんざん色んな電動スケボーを乗り回した人間からすると、遅い!乗り心地悪い!安定感がない!バッテリーがもたない!結局ミニボードなりだな・・・という感想になると思う。

Waveは硬いシェルで覆われたバッテリーパックゆえ、おそらくデッキがそこまで曲がらないだろう。ウィールも105mmのクラウドウィールを履くならブッシュを固めてウィールバイトを予防することを推奨している。ようは乗り心地の点ではデッキがしなるタイプや110mm、120mmのデカいウィールを装着できるロングボードベースには物理的に勝てませんよ、と。

Waveのトップスピードは38km/h。妥当だと思う。ホイールベースが短いのであまりスピードを出し過ぎると危ない。これも物理的にはロングボードに劣る。そのぶんトレードオフとして小回りは効くだろう。

最新型のWaveだから今までのミニボードとは違う!というのは当てはまらないだろう。厳密に言えば少しはマシになっている部分もあるかもしれないが、大筋では過去のミニボードと大して変わらないだろうと。

「なに言ってるんだおまえは!軽くて小さいから持ち運びに便利なんだよ!」

という意見に対しては

「え?あなたはそんなにボードを持ち歩くの?」

「いままでのミニボードとそんなに重さ変わってませんよ?」

「容量200Wh台のロングボードともそんなに重さは変わらないですよ?」

という疑問がある。地方の人間からするとせいぜい玄関から車内まで持ち運ぶ程度であり、ボードを担いだり背負ったりして街中を歩くことはしない。都会の人だからと6.9kgのボードをそんなに持ち歩くか?というとそれもまた疑問である。2リットルのペットボトル飲料を約3.5本分を持ち歩くようなものだ。

そして乗り心地やら安定性の悪さというミニボードにおいて不利な面を乗っている間はずっと感じることになる。これは我慢といっても良いだろう。これはミニボードしか知らない人なら気にならないが、ロングボードタイプも乗っている人だとやはり意識、無意識どちらにしてもどうしても比較してしまう。

ミニボードとは、わりかしどうでもいい(?)軽量のメリットと、回避し難い走行面のデメリットが同居しているボードであり構造的にこれはどうにもならないのだ。重さって乗っている間は本当にどうでも良いのです。

日本では公道で乗れないので遊びで乗るのがメインになるだろうが、やはりバッテリーが長くもつ事に越した事はない。その面でもミニボードは不利だ。Waveの美点としては216Whのバッテリーと、それを予備のバッテリーと簡単に交換できるという面だ。体重や勾配、速度にもよるが1パック満充電で11〜13kmは走るだろう。

しかしこのWaveのバッテリー、別売だと$299とかなり高価だ。

乗り心地や安定感、トップスピード、バッテリーの持続性という走りに大事な部分を我慢して、持ち運びという走りに関係ない部分のメリットを取る。しかも同容量のロングボードと重さ自体は大きく変わらない。ミニボードがほしいと言う人はこれについて冷静に考えていただきたい。

どうしても軽量なボードが欲しいと言うのであれば、私はバッテリー容量少なめのロングボードを推奨する。重さはそこまでミニボードと変わらないながら、乗り心地やら安定感は段違いだ。物理的にデッキが長くなるのが唯一の欠点とも言えるが、これは安定性と乗り心地とのトレードオフだ。同社のFLEXは約7.7kgであり、バッテリー容量が20%多い。乗り心地や安定感ははるかにFLEXのほうが上だろう。800gの違いでどちらを取るかということになる。

ミニボードがほしいと言う人にこの手の話をしてもほとんど受け入れられない。とりあえず買ってしまう。そして気づけばロングボードに乗り換えて結局はそちらにばかり乗っていると言うパターンが多い。

もちろん「ミニボードを買うな!」というわけではない。今回は「上記の事実がありますよ」というひとつの参考として捉えていただき、ミニボードにあまり都合の良い幻想を抱かないほうが良いですよ、という警告でもある。

ミニボードというなら結局のところ、今はWaveがイチオシとなるだろう。バッテリー容量、交換できるバッテリー、ほどほどの重さ、見栄えの良さ。過去のミニボードと比較して良いと思う。