ダイレクトドライブとAT

ダイレクトドライブは基本的に大口径ストリートウィールが主流だ。105mm、107mm、110mm、120mmのストリートウィール。

私が所有しているCarvon EXOは97mmウィール。しかしこれは例外、世にほとんど出ていない幻のダイレクトドライブであり、今(2020・7月)普通に購入できるダイレクトドライブには当てはまらない。いまどきのダイレクトドライブはパワーがあるぶん、モーターの直径が大きい。小さいウィールだと地面とのクリアランスが取れずにモーターが地面に当たってしまう。ダイレクトドライブは大きめのウィールとの組み合わせが基本だ。

ではATタイヤはどうなの?という話になるが、今度はKV値とうまく噛み合わないパターンが出てくる。

ベルトドライブ、ギヤドライブはウィールやタイヤの直径が変わってもギヤ比の変更で最高速やトルクをバランス良く調整できる。場合によってはモーターのKV値が変わっても補える。(モーターの交換)

しかしダイレクトドライブはKV値が固定なのでウィール(タイヤ)の直径が変わると最高速とトルクが変動してしまうのだ。直径が大きくなるほど最高速が伸びてトルクが薄くなる。

そこで最近のダイレクトドライブのKV値は58〜60KVという絶妙なKV値となっている。110mm〜120mmの大口径ストリートウィールと6インチ(約150mm)ATタイヤの両方を使うことができるギリギリの妥協点とも言えるダイレクトドライブのKV値が58〜60KVなのだ。

以下に12sバッテリーと60KVダイレクトドライブにおける120mmと150mmウィールの差を載せる。

↑ 12sバッテリー、60KVダイレクトドライブに120mmクラウドウィールを想定して計算するとだいたい50〜58km/hと出た。58.63km/hが理論値、49.84km/hは体重などを加味した場合のおおよその概算だ。概ねちょうどいい速度と言える。

↑ 150mmATだと最高速がかなり伸びる。そのかわりトルクは薄くなるだろう。62〜73km/hというのは少し速過ぎるがまだ破綻はしていない。

これが60KVの絶妙さだ。120mmでそれなりに速く、150mmでは速過ぎるものの、まだどうにかなる領域にとどまっている。おそらくモーターにはまだそこまで大きな負担は掛かっておらず焼きつくところまではいかないだろうと思う。

55KVだと、60KV比・120mmウィールにおいて最高速が1割近く落ちる。110mmに変えればさらに1割近く落ちる。10sバッテリーならさらに1割近く落ちる。やはり58〜60KVというのは12sバッテリーで絶妙なKV値だと思う。

12s、ダイレクトドライブ60KV、120mmでそこそこバランスが良いのはわかった。では150mmATに変えたい・・・となると実は意外にも選択肢が少ない。ダイレクトドライブにATタイヤを装着するためのアダプターが少ないからだ。

これは今後の課題になるが、ATタイヤのホイールとプーリー(またはダイレクトドライブ)を装着するためのアダプター形状は各社バラバラだ。そこでどうするか?

↑ そこでこんなものがある。ESK8supplyで販売しているケーゲルコアを持つエアレス6インチタイヤだ。ケーゲルプーリーなら装着できる。

↑ Boundmotorのダイレクトドライブに装着できるケーゲルアダプター。ちなみにBoundmotorのダイレクトドライブは60KVだ。$30。

↑ Torqueboardsのダイレクトドライブ。90・75・60KVを選択できる。アダプターはケーゲルとabec11のどちらかを選べる。ケーゲルなら先程のエアレス6インチを装着できる。

今後はケーゲルコアを持つ6インチATタイヤ(のホイール)が増えるかもしれない。