VS ロードバイク

ちょっとしたタブーに切り込む。誤解を生むタイトルではあるが、ロードバイクと敵対するとか競い合うとかそういう意図ではなく、能力としての比較や特性を理解し、それを知ることで無理な走りをしない、またはスマートに追い越すにはどうするか?という話である。

能力的にはかなり近い相手である。電動スケボーに乗っていると、なかなか良い勝負になったり追い抜かれたりという具合だ。

ロードバイクは平地無風単独でアベレージ30km/hを1時間キープできればそれなりの実力と言われている。同条件で35km/hをキープできればかなりの強者だろう。

ロードバイクのカテゴリーにエアロロードというのがある。シートポストやダウンチューブの形状が翼断面になっていたり、ホイールもディープリムホイールという高速回転に優れたホイールを装着し、空気抵抗を減らしたロードバイクだ。これはなかなか速く、乗っている人自身もそれなりに速い。とはいえ通常のロードバイクに対してせいぜい+2〜3km/h上乗せできるか?という程度だ。

もうひとつはトライアスロンバイクだ。先ほどのエアロロードをさらにエグくした感じのフレーム。サドルの後ろにボトルゲージを取り付け、ハンドルはDHバー。さらにハンドルバーまで翼断面。

↑ スペシャライズドS-Works Shiv。フロントフォークも翼断面、シートポスト、シートチューブもすごい形だ。空気をキレイに後ろに受け流すデザイン。フレームとリアタイヤの隙間も極力無くしてトコトン空気抵抗を減らす。ガチなトライアスリートが乗るバイク。強敵だ。

通常のロードバイクなら今の中華ボードおよびEvolveあたりでそれなりに勝てる。ロードバイクの実力次第では良い勝負になるかもしれない。しかし上のShivみたいなガチのトライアスロンバイクには勝てないだろう。バイクもハイスペックなら、この手のバイクに乗っている人間もハイスペックだからだ。トライアスロンバイクに勝つならRaptor2クラスの50km/h級の電動スケボー、または自作の6355、6374モータークラスの電動スケボーを持ち出す必要がある。

トライアスロンバイクに乗ってる人はペダリングも上手い。ガチャ踏みせずにビシッと上体も安定させた走りをする。またペースも乱さない。40km/h級のボードなら無理をせず譲るほうが良いだろう。

次は風。基本的に追い風だとロードバイク有利。向かい風なら電動スケボー有利である。とくに風速5m/sくらいの追い風ならロードバイクは40km/hを越えてくることも珍しくない。こういう時はやはり無理しないほうが良いだろう。

横風も怖い。風が強すぎてボードの上でバランスを取るのもやっとという状況ならばやはり無理はしない。エアロロードやトライアスロンバイクも横風には弱い。前からの空気抵抗を削減するためのデザインが横風に対しては仇となる。

電動スケボーが強いのは向かい風だ。実は向かい風は電費がガクッと落ちる。ボードにはしっかり負担がかかっているのだ。ロードバイクも同じで向かい風はパワーを使う。しかし電動スケボーは疲れない、ロードバイクは疲れる。ここで差がつく。向かい風のロードバイクは極端にスピードが落ちる。電動スケボーもスピードは落ちるがロードバイクほどでもなく電費の悪化と引き換えにパワーで押し切ることができる。

坂はどうか?坂でロードバイクと一緒に走るのはほとんど無いシチュエーションではあるが、上り坂は電動スケボー有利、下り坂はロードバイク有利だ。

ロードバイクの下り坂は60〜70km/hで走るのも珍しくない。プロのレースなら90km/hにも達する。車輪が大きいだけに高速安定性は圧倒的にロードバイク有利。下り坂では電動スケボーでは勝負にならないだろう。そのぶん上り坂では圧倒的に電動スケボー有利だ。

ロードバイクにはドラフティングという走行方法がある。前を走るもの、例えば車やオートバイでも、その後ろに貼りつくことで後続は大幅に空気抵抗を削減できるという理屈であり走法である。クルマのレースで言えばスリップストリーム。ロードバイク数人で縦1列に並んで走るその一団はトレイン(列車)とも言われる。

単独選手同士で競うトライアスロンにおいてドラフティングは禁止事項となっている。後ろにつく選手が圧倒的に楽になるからだ。

トレインは先頭のロードバイクが前からの空気抵抗を一身に受け、後続は楽に走れるようになる。いちおう先頭も2番手が背後に貼り付くことで背中側の負圧が軽減されて少し楽になる。先頭は疲れたら最後方に下がって2番手が先頭になる。そうしてメンバーの並びをローテーションをしながら走ると結果として全体の速度が上がる。

どこかのロードレースチームやロードバイクショップの朝練みたいな気合の入ったトレインは強敵だ。40km/h級のボードでは返り討ちに遭う可能性がある。無理せずに譲るほうがいいだろう。

このようにシチュエーションでかなり優劣が変わるのも面白いし、知っていて損はないと思う。特性を知ったうえでお互いを尊重して安全に楽しんでほしい。そして仲良く共存したい。

私は細い場所でのすれ違いのとき、なるべく対向のロードバイクに先に譲るようにしている。ロードバイクの減速からの再加速は疲れるからだ。電動スケボーは疲れない。

余談だが、平地においてはロードバイクよりも速い自転車もある。リカンベントだ。仰向けに寝そべるように乗る自転車で空気抵抗がかなり少ない。平地なら並の電動スケボーでは勝てないだろう。