最適なKV値とは

今回はKV値の話。モーターの特性を示す大事な指標ではあるが、市販の完成品電動スケボーを主に乗っている人だとあまり気にする機会はないと思う。

しかし自作においてはKV値を理解していないとなかなか厳しい面が出てくる。最高速とトルクのバランスを考える上でKV値は不可欠な要素である。ベルトドライブ、ギヤドライブなどギヤ比が絡むとさらに複雑になる。

KV値とは、電圧あたりのモーターの回転数である。80KVで36Vなら、2880rpmである。単純に「KV値× 電圧」で求められる。同じ80KVでも50Vなら4000rpm。より多く回るので最高速が伸びる。しかしながらKV値が高くてもワット数が同じならばトルクは薄くなる。KV値は高ければ良いというわけではない。

ギヤ比を考慮しないハブモーター、ダイレクトドライブで話をしていくと、

90〜110mmウィール・・60〜90KV

150mm(6インチ)タイヤ・・おおよそ50KV

175mm(7インチ)タイヤ・・おおよそ35KV前後

200mm(8インチ)タイヤ・・おおよそ20KV〜30KV

このあたりが適正値と思われる。タイヤの直径とKV値(さらにはギヤ比)は最適なバランスが必要である。

↑ AliExpressで売っている電動キックスクーター用の8インチハブモーターのスペック。1000rpm ÷ 48V = おおよそ20KVであろうことがわかる。また上記のスペックから理論上の最高速を割り出すことができる。

直径200mmタイヤ× 3.1415(円周率) × 1000rpm × 60分 ÷ 10^6 = 37.698km/h

理論値としておおよそ37km/h程度の最高速である。

↑ これはトルクボードのベルトドライブ・6インチATであるが、トルクボードでは6インチタイヤを発売した当初、ダイレクトドライブ75KVと6インチATタイヤの組み合わせを宣伝していた。当初から私はこれに疑問を抱いていた。6インチで使うには75KVは高過ぎるだろう、と。

↑ これがダイレクトドライブ。画像では110mmストリートウィールと組み合わせているが、仮に6インチタイヤを組み合わせるとどうなるか?

ダイレクトドライブは75KV。先ほどの適正値表だと6インチタイヤなら50KVあたりが適正なのだが、そのまま無理やり使うとどうなるのか?

トルクが足りなくて加速が鈍くなる、坂道を上るのがキツくなる、ブレーキが甘くなるなどの悪い面が出てくる。最悪はモーターが焼ける。自転車に置き換えると、重いギヤ固定で走り続けるようなものだ。坂はキツイ、出足も鈍い。乗り手がバテやすくなるだろう。それでも自転車は乗り手が疲れればペースを落とすなりギヤを変速して軽くすれば良い。しかしモーターは変速出来ないし、適性ではないKV値のままユーザーがお構いなしにアクセル操作して無理やり回すことになる。これがモーターに負担を掛けることになる。

トルクボードではその後、モーターが焼けたというユーザーからの報告を受けて6インチタイヤと75KVダイレクトドライブの組み合わせを宣伝することを止めた。かわりに6インチタイヤとベルトドライブを組み合わせた製品を販売している。

esk8calcで計算。ダイレクトドライブ75KVと6インチタイヤ、12sリチウムイオンバッテリーを組み合わせた場合の最高速理論値。ダイレクトドライブなのでギヤ比は1:1で設定。するとなんと91km/h!これはあまりにもハイギヤードすぎる。10sで30〜50km/h。12sで40km/h〜60km/h程度の最高速をターゲットにするのが無難だろう。

私のギヤドライブ6インチATボードは150KVのモーターにギヤ比は45:15、すなわち3:1。150KV÷ギヤ比(3÷1)=ハブモーター換算で50KV相当である。

Evolve GTシリーズの7インチATタイヤは150KVモーターにギヤ比は66:15。150÷(66÷15)=34.09、ハブモーター換算でおおよそ34KV相当である。

上のハブモーターKV適正値を基準に、こんな感じで計算すればベルトやギヤドライブでもおおよその適正なギヤ比やKVを割り出せるだろう。またesk8.calcもうまく活用したい。

ブレーキ、登坂力などのバランスを考慮すると若干トルク寄りのほうが良いと思う。平地しか走らないという人なら最高速寄りに振っても良い。ベルトドライブ、ギヤドライブなら10s12sバッテリーで140KV〜220KVあたりが妥当だろう。もちろんギヤ比にも左右される。

ギヤ比に関しては上記のモーター使用を前提にすれば

100〜110mmウィールで 2.2:1〜2.8:1

6インチタイヤで3:1前後

7インチタイヤで4:1前後さらにローギヤード

8インチタイヤで5:1〜6:1からさらにローギヤード

モーターのKVと合わせてこの辺りが基準になると思う。

E-toxxで販売しているMBSロックスターハブ8インチタイヤ用のギヤドライブで6.25:1である。

↑ 電動マウンテンボードメーカーTrampaのギヤ比とKV値の対応表。モーターギヤは10T。タイヤは8・9インチだ。この場合ドライブ側がヘリカルギヤ(斜歯歯車)で58T、ストレートギヤ(普通の歯車)で59T。つまりほぼ6:1。

118KVだとかなり低速な感じだ。もし私が使うならば154KV、160KVを使うだろうが、ローギヤードの設定はマウンテンボードならではの事情もあるのだろう。先ほどのE-toxxの6.25:1というかなりのローギヤードならモーターは190KVあたりでも良いかもしれない。これだと理論上は12sバッテリーで最高速50km/h弱である。

総括として、ハイスピード寄りだと低速や上り坂でモーターに負担がかかる上にブレーキも甘くなる。ローギヤード寄りだと当然遅くなるしアクセルオフ時のバックトルクもキツくなる。これらを踏まえてギヤ比やKV値は各人の好みで多少は変動するものの、破綻しないバランスが大事である。