中華ボードのシナジー効果

前回の投稿のとおり、中華ボードはとにかくメーカーの種類が多い。しかし部品の供給元はある程度共通しているので、似たような製品が多いのも事実である。

私が中華ボードの一番強力な武器は表題のとおり、シナジー効果だと思っている。中華ボードのメーカーは多数あり、それぞれがライバルではあるが同時に商品力を高めあう運命共同体でもあるのだ。

ホビーウイングESCが良いよ!と、なればみんな一斉に採用し始めた。AT作るぞ!と、なれば一斉に開発し販売を始めた。右にならえみたいだが、方向性は同じながらメーカーごとの独自性もある。

ATと一言で言っても、ダブルスタックバッテリーとシングルスタックバッテリーのモデルがあり、ドライブもベルトドライブとハブモーターのモデルがある。タイヤもチューブタイプだったり、エアレスタイプだったりする。

その中からコストと人気のバランスを見極めて最適解を出していくだろう。

かつて中華ボード最大の弱点だったESCの出来の悪さはほぼ完全に克服された。ATの市場にも2019年に一気に乗り込んできた。去年は中華ATは存在しなかったのだ。(アリババ経由の名の無いATボードなら一応存在していたが)

中華ボードの次のムーブメントは何だ?

私はセパレートエンクロージャーからの脱却、大容量バッテリー搭載だと思う。ボードの下に平らに敷き詰めたシングルスタックバッテリーはAE boardが採用しているが、Meepoもクラシック2でシングルスタック10s3pを採用している。もっと以前にはWinboardパンサーも10s3pを採用していた。サムスン35Eを最初に使い始めたのもWinboardだ。これは中華大容量バッテリー時代突入の兆しだと思っている。

12直列もわずかに産声を上げ始めた。12直列も今後は増えるかもしれない。

中華ボードは混沌の中から電動スケボーの市場を形成し、boostedの模倣で成り上がり、EvolveからATボードの方程式を得た。つぎに目指すのは大容量バッテリーとハイパワー、さらなる乗り心地の向上。つまりハイエンド市場だ。

安い中華ボードの供給はライダーの育成にも繋がる。ライダーの平均的技量も底上げされ、それに合わせた、より性能の良いボードが開発・販売されるだろう。

また開発側もユーザーが何を求めているか、今ではしっかりわかっている感じがある。3年前は、電動スケボーというよりは電気で動くスケボーをとりあえず作ったという感じだった。動くというだけで走行フィーリングはまったく考慮していない感じだった。今の中華ボードメーカーはユーザーの嗜好や作るべきものが明確にわかっている、これは強い。

私の経験則になるが、電動スケボーが好きな人間ならバッテリー容量は絶対的な正義だ。容量は多いに越したことはない。

乗り心地も良いに越したことはない。良い方がいいに決まっている。

30km/hが怖い?40km/hも出れば充分?50km/h出るボードに乗れば30km/hなど退屈な速度になる。これが全世界のユーザーが体験する、すなわちユーザーの平均レベルの底上げである。

3年前は99Wh、32〜35km/hのボードが$1300〜$1500だった。

今では600Whオーバー、50km/h出るボードが$1000以下で買える。

先鋭的な欧米豪の1企業が出した製品を、中華連合が総出で模倣し切磋琢磨して改良し、安く世に送り出す。もう集団リンチに近い。

630Whに手をつけ始めた中華ボード。来年には1000Whの壁も破りかねない。

DIY界隈ではサムスン25R、ダブルスタック12s5p、540Whが「すげー!」と言っていた時代があったのだ。ほんの数年前である。