超ハイエンド時代

2019年は中華ボードが低価格($600〜$800)でありながら、初心者ならまず満足できるであろう性能になった。

Meepo NLS、Wowgo3、Backfire G2T、Own board W2

「初心者です。どれを買えば良いですか?」の問いに対しての回答は、上記の4機種のうちのどれかを買えば何も問題ないだろう。

しかし、従来から電動スケートボードに慣れ親しんだ者たちからすると中華ボードを買えばOK!・・・とはならない。私も含め、彼らはより高性能なボードが欲しいと考えるだろう。現在の中華ボードの性能はすでに通った道なのだ。とうぜん過去2〜3年間で愛好家達のライディングスキルも上がっている。

この「より高性能」という領域はこれまで自作(DIY)によって達成されてきた。基準としてはEvolveやRaptor2よりも上といったところだろうか。つまり今までは完成品としては売っていなかったのである。EvolveやRaptor2あたりが高性能ボードの代名詞であり、実際にこれくらいの性能なら大半の人にとっては充分だと思う。

ところが時代の要求なのか、2019年はEvolveやRaptor2をはるかに超越するとんでもない超高性能マシンが発売されはじめている。

・バイオボード(Bio boards)

・ラクロア(Lacroix)

・Kaly.NYC

・Baja Board(これは3年前からある超ハイエンドの元祖)

「DIYで自分で作ることはやらない、けど高性能なボードが欲しい!」

・・・ならば、この4メーカーが選択肢になるだろう。パワー、バッテリー容量、価格($4000前後)、どれをとっても段違いだ。最高速60km/hなど当たり前である。

面白い特徴としてBaja board以外の3社はFOCBOX Unityを採用している。これが超ハイエンド時代突入のトリガーになったと私は考えている。

FOCBOX Unityは非常に優れたVESCだ。とにかく扱いやすく、metrと連携すればデータロガー代わりにもなり楽しみも広がるだろう。そしてなりよりもコンパクト。これがバッテリーの大容量化に大きく貢献する。

Kaly.NYCXL50+は1736Wh

ラクロアのナザレ・ロンスターは2178Wh

どちらも弩級のバッテリー容量だ。私のバイオボード・トリウムX4は40Tセル12s6pで1036Wh、トルクボードのダイレクトドライブ搭載マシンは12s10pで1512Wh。どれもこれもFOCBOX Unityの恩恵だと思う。ワットアワー(Wh)4桁大容量時代へのトリガーもFOCBOX Unityである。まさにゲームチェンジャーと言える。

大容量バッテリー時代突入は私にも予測できた。FOCBOX Unityを見た瞬間になんとなくわかった。

「アンチスパークも要らないし、バッテリーケーブルの分岐も必要ない。ものすごくコンパクトに収まるよね、これ。」というのが第一印象だった。

そして実際に1512Whの自作機を作った。ここまでは想定通り。そして、予想外の出来事とそれに伴う今後の予想の見通しが出てきた。あくまでも私の予想なのだが。

予想外の出来事としては表題の通りで、まず上記の超ハイエンドマシンをメーカーが作り販売する事態になったことである。つまりFOCBOX UnityはDIY愛好家達だけのものではない、ということなのだ。そしてこれは今後の予想であるが、メーカー自らとんでもない超ハイエンドマシンを発売し始めたことにより、「ハイエンドマシンを自力で作ってやるぜ!」という愛好家達の気概がある程度削がれるであろう、ということである。

・ギヤドライブとFOCBOX Unityで大容量かつハイスピードなマシンを作るぜ!→バイオボードを買った方が早い。

・どこでも走れるオールテレイン(オフロード)、なおかつ大容量なマシンを作るぜ!→Kaly.NYCやラクロアを買った方が早い。

こんな感じである。ハイエンドメーカーが現在考えうる極限の電動スケートボードを作ってしまったのである。これ以上のアイデアは無い、突き詰めて・・突き詰めて・・現行のあらゆる最高のパーツを組み込んでバッテリーもカツカツに搭載して作られたのが2019年のメーカー製・超ハイエンドマシンである。

はっきり言おう。愛好家達が性能面においてメーカー製超ハイエンドに匹敵する自作機を作る意味はほぼ消失した。そして匹敵するものは作れたとして、超えるものを作るのはほぼ無理だろう。私がバイオボード・トリウムX4を買った理由がまさにこれ、時間と手間暇かけて自力で作るより買った方が早いのである。

・ギヤドライブ

・ランドヤッツEVOデッキ

・ABEC11の107mmスーパーフライウィール

・大容量バッテリー

・FOCBOX Unity

これらハイスピードマシンにおける最適解をメーカーが作ってしまった。自分でわざわざ作る理由が無くなった。これ以上私にできるモディファイはトルクボードの110mmウィールに交換するくらいだろうか。

「次は俺もそろそろハイエンドな電動マウンテンボードでも作ろうかな〜?けどラクロア買った方がラクだし・・・」という考え方の変化の兆し、これは予想外だった(笑)

ラクロアのナザレ・ロンスターを超えるものを自作で作ることは現状ではかなり難しいだろう。ハイエンドは自分で作るという時代は終わり、買った方が早いという時代に変わり始めている。そうではないかもしれないが、構築するスキルや知識が無くても、金さえ出せば買える時代になったことは確かだ。もちろん性能を求めるだけがDIYではないのだが、DIYにおいては性能以外のものを求める傾向が強まるかもしれない。